タイトル未定

アニメとか映画とか小説の感想を書いたりします。予定です。未定なんです。

ほんとにあった!呪いのビデオ(一作目)

夏だ!ホラーだ!

というわけで、Amazonプライムビデオに『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズの初期作品が10作目まで無料で見られるようになってたので、チマチマ感想を書いてく。

11作以降も、ファミリー劇場のチャンネルに入れば月額で見られるそうな。

夏だし。とりあえず飽きずに10作目標。できなかったら呪われて死ぬ。

 

「白い着物の女 前編」

耳鳴りのような音と白い影の映りこんだ映像。

明らかに加工したような音声だけど、解析の結果はハウリング

埼玉県音響粒子学研究所の所長さんが解説してくれるんだけど、ググったら当該施設は「存在しない」とか普通に書かれてて寂しくなってしまった。そういうことはこの作品ではやるべきじゃないことを理解。

というか、思ったより検証パートが長くて草。家具の置き場所まで再現して、人影の位置まで計算してる……。

映像の分析をしてくれる北鳳大学の柴田教授も存在しないんだろうなぁ。

初「とでもいうのだろうか」に続けて、ようやく映像をこっちに見せてくれることに。それが先じゃない?

 

「トンネルにて…」

車内に置かれた、切り忘れたハンディカム(時代だぜ)から撮られたトンネルの映像。

トンネル内に移る人影。ちょっと怖いかな。

 

「墓参りの記録」

おい初回から昭和58年の映像が出てきたぞ。飛ばしすぎだ。

しっかり編集してある上にめちゃくちゃ長く、最後に老婆の顔が映りこむだけで怖くないし何も面白みなくてキツいですね。

 

「劇団の稽古風景」

鏡に映った、いるはずのない場所にいた少女。輪郭だけでユラユラ動いてるの、割と『残穢』っぽい。

 

「白い着物の女 中編」 

その部屋では、前の住人も似たようなことを言っていたという。

笑い声と白い人影。前の住人に前編で取り上げられたビデオを見せると、彼が見舞われた現象と全く同じ。体調も悪くなり、おまけに彼は、スタッフの気付かなかった現象にまで気付く…というの、シンプルな展開だけど面白いですわ。

 

「結婚パーティーにて」

野次の「ウッス!」が唐突すぎて、本筋とは関係ないのにその声にビクってなってしまったのでおしまい。Tシャツに映る手はちょっと怖かった。

 

「事故現場にて」

ガードレールに浮かび上がる男の顔。いや、全然見えねぇ…。

 

「監視カメラ」

監視カメラの画像が異常に荒いのに時代を感じる。そして長い。ひたすらに長い。本当に長い。長い割に気持ち程度しかない。

 

「生中継番組」

テレビの中継中に入ってしまうノイズとジャギー。これも気持ち程度。

 

「白い着物の女 後編」

貝原先生の分析によると、部屋の中の誰の声紋とも一致しない笑い声。それは空気の薄い所から出た声で、人の器官から出るようなものではなかった。短く、楽しそうな艶やかな声で、かなりゾクっとしました。

 

「大学校舎にて」

大学内での肝試し。飛び降りが後を絶たず、大学教授も殺されている建物の中を探索する大学生。

かなり雰囲気も出てて、撮影してる映像の中に当たり前のように白い影が映り続けて、その場にいた全員がそれを認識してるの怖くて良いですよぉ。

 

「盗撮・試着室」

盗撮犯がビデオ送ったのか…。壁に白い博多どんたくのお面みたいなのが映りました。

 

千駄ヶ谷トンネル」

スタッフが何か撮れないかと思って撮ったらホントに撮れちゃったという映像。語ることもない。

 

怖い映像とそうでもない映像がバランスよく詰まってる感じ。

もう少し一作一作のテンポがよければまた違ってくるんだけど、いかんせん恐怖映像なでが長すぎてダレる。

ストーリーが合ってないようなものだった中編「白い着物の女」も、今後度々出てくるなら評価変わるかもしれないけど、現段階ではやっぱり尺稼ぎくらいにしか思えなくて残念。

せめて1本内で完結させてほしいところ。

そもそもナレーションが中村義洋監督じゃなかったり、いきなり中村監督と鈴木謙一監督が当たり前のように顔出しで投稿映像を見てるのが手探り感あって好きですね。

フォーマットができてくるまではご愛嬌かなぁ。

正直かなりダルくて、この感想シリーズもここで終わりの目が出てきた。 

 

そういえば、最近よく寝る前に事故物件ものとか読んでるんですけど、起きたら久しぶりに金縛りにあったりして凄い怖かったこと思い出した。アレほんとに、意識はあるのに動けないのね。

というよりも、意識だけ先行して動けなかったな自分の場合。左側を下にして横向きに寝ていて、うーん寝心地が悪い、よーし後ろを振り返るぞ…と振り向いた感覚はあるのに全く振り向けてない。そういうときに限って、背中の辺りに何かの感触がある。

霊感とか微塵もないので、こんな程度でエラいびっくりしました。

夏はホラーですよ。

ヘロQさんの『もっけの幸い』

新宿はシアターサンモールにて、劇団ヘロヘロQカムパニーさんの第33回公演『もっけの幸いの「もっけ」ってモノノケの事なんだって。知ってる?』見てきまった。

ヘロQさんの舞台を見るのは、『無限の住人』に続いて二本目。ザ・漫画な登場人物と武器を実写に落とし込んだビジュアル、ケレン味溢れるアクション、ギャグとシリアス入り乱れたテンポの良い演出、原作未読者(恥ずかしながら俺だ)にも分かりやすい纏められた脚本、そして関さんを始めとした豪華な出演者……と虜になってしまい、すっかりヘロQファンに。本公演も当日までソワソワと楽しみにしてました。

今回は日替わりゲストということでしたが、これがまた凄い面々で、チケットの予約の前からさてどうするかと。

当初の希望としてはあわよくば石田さんか小西さん……と思ってましたけど案の定瞬殺完売。さればと、スケジュールと相談しつつ見たい方を考えた結果が戸松さん出演の今回と相成りました。戸松さん、自分の中では未だに声を聞いてパッと「戸松さんだ!」とならないくらい役の印象がバラバラで、演技の打率がめちゃくちゃ高い名バイプレイヤーって認識だったので、ここらで改めてガッツリお芝居見ときたかったのでした。

と、いうところで以下舞台の感想。ネタバレも込みなのでお気を付けを。

 

さてさて。物語は、半妖怪半人間の胡散臭い自称モノノケハンター・根津と、ひょんなことから彼と知り合ったレストランの娘・唯を中心とした、笑って泣ける生暖かい人情妖怪物語。

段々と生きる場所を失って、世知辛く暮らす妖怪たちと、そんな彼らを暖かく包み込むことになる、キッチン麻宮の一家。ある目的を持つ新時代のモノノケ達と、人に仇なすモノノケ退治を生業とする闇ガラス。陽と陰、ギャグとシリアス、二つの集団が交じり合う前と後でジワジワと作品の色が変わって行って、一粒で二度美味しく、心の底から笑っていたら、最後には涙が止まらない素敵な作品でした。

 ヘロQさんの舞台は、過去作を調べてみると横溝に山風、オリジナルでもサスペンスに時代劇にと、多分に『伝奇』な匂いを感じるんですが、今回もモノノケ=妖怪モノということで御多分に洩れず。とあるモノノケの本性が「あなた様かーー!」だったり、細かい所がツボに突き刺さる。

パンフレットに「初期ヘロQ作品の雰囲気満載」とありますが、前作に比べるとギャグ多めで全体的に雰囲気も暖かく、 成程これがヘロQなのか……と魅力を思い知る新参ファンなのでした。いわゆる敵方も、どシリアスな登場シーンの割にいきなり天丼ギャグをかましてきたり、クライマックスというのにちょこちょこ笑い所があったり、見てて楽しかったです。この、「笑い」をかくも鮮やかに成立させるんだから凄いなぁと。

 

役者さんについて。まずは座長。今回の関さんは、全体的に小汚くて髪型も面白い風貌だし、第一声から大分高めの声で、それ聞いただけで僕も周りも結構笑ってて。なのに、やっぱり舞台で演技を見ていると、もうどうしようもなくカッコいいんですよ。佇まいも発声も動きも、ヤらしくて胡散臭いんだけど、どこか憎めない根津という男そのもので、それがもう堪らなくカッコいい。好き。舞台袖でのちょっとした物音にも即座に反応してアドリブを効かせて、はぁーん舞台役者関智一素敵すぎるなと。

純真というか、結構すっとぼけたヒロインだなぁと思った唯ちゃんですが、両親もまた中々のすっとぼけ具合で、長沢さんと置鮎さんがとってもハマってた。置鮎さんの、あの低く良い声と爽やかフェイスから繰り出される小気味いいボケとツッコミが、普段の役のイメージからはちょっと想像が付かなくて、そのギャップも面白かった。

前回の百琳姐さんで虜になった那珂村たかこさんは、今回も凛とした役で、終始「カッコいい……」と心の中で呟いてましたね。

二作しか見てないのに自分の中ですっかり「語り部」ポジションという認識になってしまった大場達也さんも、役に立つんだか立たないんだか、良いこと言ってるのか言ってないのか、みたいな絶妙なキャラで、後述のアドリブパートの掛け合いがめちゃくちゃ面白かった。

近藤浩徳さんも最序盤からクライマックスまで、要所要所でビシっと決まっていてカッコよかったし、島田朋尚さんにも、少ない登場シーンでガツンとインパクトを刻まれました。開幕から笑いを掴むの、凄いよなぁ。

さて、ゲストの戸松さん。日替わりゲストということはそんなに登場シーンも無いのかなぁと思っていたらそんなことはなく。1シーンまるまるスポットが当たっていたかと思ったら「そんな所で登場すんのかよ!」なシーンまで。出る度に場をかっさらう、アドリブ満載の、正しくゲストな配役。これは、他の回も見たくなるよ……。

眼鏡っ娘クラスタとしては、初めて見る生の戸松さんが丸い眼鏡を掛けているという時点で事件なんですが、まぁしかしやはり可愛い。とか思ってたら、服装と役名に絡めた置鮎さんからの爆弾発言で爆笑。これ、他の女性キャストの時とかも多分そうなのかなぁとかめっちゃ気になった。いやぁ、あんな良い声で「オナホ」が聞けるとは。

その後も、関さんとの共演で妖怪モノだけどまさかなぁと思っていたら職業ネタがぶち込まれ、案の定あの作品のあの体操が。大分良いモノを見た。割とシリアスなシーンで吹き出してしまう置鮎さんも見られて、挨拶の時の戸松さんの言葉通り、「一期一会」な舞台の面白さを味わえました。

 

舞台見る時の恒例になりつつある、新しくお名前を知ったキャストの方々。

まずは唯役、進藤初香さん。のっけから痺れる声量。ザ・天然といった具合の役だったんですけど、おっとりとしながら芯の強さの感じられる可愛い役で、だからこそクライマックスの演技に泣かされましたね。ムゲジュウにも出てらしたとのことだけど、パンフレットが見つからなくて役が確認できないぐぬぬ

姉の陽子役の松本和子さんも、対照的にクールなお姉ちゃんを好演されていてカッコよかった。

山田役の大谷秀一郎さんは、「俳優気取り」みたいなことを劇中で言われてたけど、そのカッコつけっぽい仕草がギャグパート以外はスマートにキまっていて、全然カッコつけてる感じもせず素直に入ってきて素敵でしたわ。終盤の演技も凄かった。役自体も新時代のモノノケということで、結構考えるところがあったりします。

あと猫娘な。加藤杏奈さんの猫娘。可愛いの……。超可愛いの……。可愛かった……。

 

見た時の思いをちゃんと書きとめておこうと思いまして、備忘録的にも長々と書きましたけど、とにかく面白かったです。今回は特に、ナマモノとしての演劇という部分をより強く感じられて刺激的な体験でした。

居場所についてであったり、人との関わりについてであったり、少なからず自分の日々の中にも関係してくる部分もあって、そういう時に根津さん方式でちょっと生きてみっかなと思いましたことよ。大変面白かったです。

 

しかし、次回作がアレならばあの公演DVDを購入せねばなるまいて……。

マイベストエピソード企画 10選

 今度は更新までたった四ヶ月しかかかってない(白目)。

 前置きはサクっと捨て置き本題。ぎけんさん(@c_x)のベストエピソード企画に参加させていただきました。

unmake.blog133.fc2.com

 ・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
 ・ 選ぶ話数は5~10個(最低5個、上限10個)
 ・ 1作品につき1話だけ
 ・ 順位はつけない
 ・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)
 ・ 画像の有無は問わない
 ・ 締め切りは8月末まで

 のルールの下に、アニメ作品の好きな話数を選出する企画。Twitterのフォロワーさんの呟きをきっかけに知り、楽しそうだなぁやってみたいなぁと思った次第。

 とはいえ、そもそもブログを立ち上げたは良いものの全く活用しておらず、ここ最近はアニメの批評感想すらマトモにしてないような人間が参加してよかんべか、と思い逡巡しまくった末に月末になってしまいまして。

 でも参加しないと多分後悔しそうな気がするしなぁと、意を決して参加を表明。突然かつ締切直前にも関わらず、快く参加をお許しいただき改めて感謝です。

 しかし、書き終わって読み返すだに(各話の方から執筆)、こんなんで良いのだろうかという不安が。普段から勢い任せの文章で、「人が読む」という意識が欠けっぱなしなので、既視聴者向けなのか未視聴者向けなのかも判然とせず、紹介なのか感想なのかも曖昧で、もそっと文章書く力を鍛えようかと思いました。

 色々とボヤっとした内容ではありますが、「好き」「見てほしい」を第一に選んだベストエピソード10選です。布教用に配信ページも一応張っつけてます。ではでは。

 

デスノート 7話「曇天」

 実写映画版やドラマ版に比べると話の筋は忠実ではあるものの、原作を再解釈して、不要なエピソードは省略し再構成、終盤に大きな改変を加えるなど、「原作に忠実であるよりも誠実に」(本作にも参加されている演出家、中村亮介さんの言葉)なアニメ版デスノート

 警視庁を訪れた月が、恋人のFBI捜査官をキラに殺されたと推理する元FBI捜査官の南空ナオミと出会い、不審に思った月が彼女を外に誘い、そこで彼女の推理を聞くのが前回まで。 

 ナオミの持つ情報は、実はLに伝わればすぐに月=キラと発覚してしまう代物なので、月としては警視庁で彼女が捜査本部に接触してしまう前に始末したい。警視庁に戻るまでの道のりで何とか彼女の名前を知り、ノートによる殺害を行いたいが、ナオミもかなり敏い人物で、下手なことを言おうものなら疑われかねない。そんな月の悪戦苦闘が楽しい回。

 原作ではこのエピソード、最初から雪が降っているのだけど(たしか)、アニメでは後半から降り始め、それまでも薄暗かった風景の色合いが更に暗くなる。作品全体を通して心理描写などでの色使いや光の派手な当て方が特徴で、それらに比べると地味だけど結構好きな演出。

 見所は終盤。本当の名を聞きだしたキラがノートに彼女の名前を書き、妙に時計を気にする彼に疑問を持ったナオミがそのことを訪ねると、勝利を確信している彼は「キラだから」と答える。

 原作では、動揺したナオミが疑問を口にしているが、アニメではただ、彼女の表情の変化を映すだけ。自分が今まで信頼していた相手の言葉を飲み込み、理解するまでの一瞬の、まさに「息を呑む」瞬間。勝ち誇る月を挟んで再び映し出されたナオミの顔は、ノートに支配された彼女の"自分が考えられる最大限の遺体の発見されない自殺の仕方だけを考え"た虚ろなもの。そして彼女が歩みを進める先は……。圧巻の演出です。

 その場で、会話の中から名前を聞き出す糸口を作りだす月の頭のキレや、彼を「Lに近いものを感じる」と評すナオミなど、月という主人公の恐ろしさが存分に出ながら、もしノートを拾わなかったら、という想像をさせる物悲しさもあり。それまで目の前で話していた人間がノートに意思を支配される残酷な変化を捉えた、ラスト5分のキレッキレの演出が凄いです。

 演出は今をときめく伊藤智彦さん。このアニメではかなりの数登板されてますのでそれらもオススメ。

 

www.hulu.jp

 

銀河英雄伝説 83話「祭りの後」

  この作品に関してだけは、ネタバレは余りしたく無いのだけれど、この回の話をするには、どうしても本筋に多少なりとも触れなくてはならないのが苦しい所。

 かいつまんで書くと、自分たちの陣営からちょっと遠くまで出かけた重要な登場人物が前回で亡くなっています。前回は、彼が死ぬその時を描いたもの。そして今回は、彼の死を知り、残された者たちがどう考え、どう行動していくかを描いたもの。

 死んだ人間に対しての様々な距離感が一話の中で凝縮されていてとても好きです。少年は自分の感情を隠そうともせず、一方で周りの大人は、動揺するも死を受け入れ、ならば次にどうするか、という所を考えてます。あぁ、これが大人だと、年齢と経験と立場の差がとても端的に表れてます。

 その死の現場は普段いる場所から離れているので、彼の死だけは通信で伝わるものの、そのリアクションまでは、少年たちが戻ってくるまで描かない。そして、戻っていくとそこにいる者たちもまた、悲しみを言葉にするものの、落ち着いて「次」「これから」を考えてる。彼らなりに感情を発露する時もあっただろうけど、そこは描かれず、年齢の差と同時に、死の受け止め方に対する物理的な距離の差、時間の差というものも一話の中で描かれていて驚いた。

 彼の死に対して、普段は見せない表情を見せ、普段は語らなかった心情を語る人たちの姿が胸を打つし、この回の中で激しい感情を見せる二人の立ち位置もまた泣ける。

 「残された人々」が選択し、「残った人々」になった時に、その行動には彼の死を無駄にはしないという強い意志が感じられ、陳腐ではあるけど「心の中で生き続ける」を真っ当に描くとこうなるのか、と。

 そして、ある女性声優さんの演技がその人のベストアクト級に凄い回でもあるんですが、それも若干ネタバレでうーん。というか、ネタバレに配慮したおかげで物凄く抽象的な文章に……。

 とにかく、「死んだ人間の時間は止まっても、周りの人間たちも含めて歴史は動く」という個人的にとても弱い話で、この回は特にそれが強く感じられていて好きなのです。

 

http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=1377

 ※(該当話数は3期であり、またこの作品は月額会員見放題作品でもありません)

 

TIGER&BUNNY 15話「The sky's the limit… 限界は空高くに…」

 タイバニより、スカイハイ回。これまでキング・オブ・ヒーローとしてヒーロー界のトップに君臨してきたものの、ジェイクとの戦いに敗れてから自信を無くして落ち込み、良いとこ無しの日々。そんなスカイハイの切ない話。

 タイバニ全体を通してだと、もっと好みの演出だとか好きな話だとかがあるっちゃあるんだけど、エピソード単位で挙げるならやっぱりこれかな、というチョイス。

 一目惚れした相手を、そうと知らずに倒してしまう定番の悲しい話だけど、タイバニらしく合間合間の笑えるシーンが多い。カッコよくキメたバニーの上半身裸の水着姿と、対してコミカルな全身タイプの水着姿の虎徹。スカイハイの恋の悩み発言に食いつく女子組と、その迫力に圧倒されるスカイハイ。少女マンガのようにスカイハイの心情に呼応する公園の噴水など、いつもと変わらずコミカルで楽しいのだけれど余計にその結末にションボリする。噴水のラストの使い方なんて天丼ギャグからの落差が。

 それ以外にも、スカイハイの恋するアンドロイド、シスの不気味な挙動や戦闘シーンも見所で、メッキが剥がれたシスが画面奥1カットで虎徹の頭を持ち上げて歩き続ける怖い描写が印象的。

 他愛も無さそうな会話からベンさんが重大なことに気付いてしまうシーンや、バニーの両親のアンドロイド開発など、今後に繋がるシーンも多く、サブエピソードでも話を進めることに抜かりないタイバニらしい回でもある。

 ちなみにゲスト声優が宮本充さんと矢島晶子さん。さとう監督も携わった『THE ビッグオー』からのニクい配役。

 

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A.D.POLICE 2話「ザ・リッパー」

 全3話のOVA版の方。バブルガム・クライシスのスピンオフ作品だけど、こちらからでも十分面白い(というか俺は更にスピンオフ先のパラサイト・ドールズから見た)。

 実は意外と暗いバブルガムクライシスだけど、それよりも尚暗くて、陰鬱な感じが好きなのです。体の機械化がカジュアルに行えるようになっているので、ガラの悪いニーチャン連中のビジュアルが北斗の拳だとかブレードランナーといった世紀末感があって楽しい。

 廃止されながらも何故か電力が供給され続け、動く無法地帯と化した地下鉄環状線。そこで起こった連続女性殺人事件は、いずれも局部を切り取られたモノだった。

 犯人はブーマ(アンドロイド)なのか、人間なのか。何故そんな殺し方をするのか。様々な謎が、この作品の「人と機械の境界線」みたいなテーマの下に明らかに。

 「THE MAD CRIMINAL INVESTIGATION FILE OF TOKYO ADVANCED POLICE」

という副題のこのアニメらしく、ゴアくエロい描写も多々あるのでそれなりに人は選ぶ作品でありこの回なんですが、人と機械の境界線を取り扱ったこの作品と、今回結び付けた題材、そしてその帰結が好きで選びました。

 脚本は、まだ会川だった頃の會川昇さん。台詞選びの一つ一つがカッチョいいです。最後のモノローグが最高にイカす。

 

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GUNGRAVE 14話「DIE」

 もう既に何人かの方が挙げてらして、お前ごときに語ることがこれ以上あるのかと言われたら死ぬんだけど、いやしかし「好きな話数」という話なら個人的にここは外せまい、というわけで。先達の記事も敢えて読まずに書きます。書いた後で読んで己の未熟を恥じます。

 「変わってしまったのはお前か俺か」そういう、すれ違いの上の関係の破局というのが大変好みなんですが、マフィアの政争の下に男同士が、というノワール映画の鉄板をアニメで見られるガングレイヴには燃え燃えで、作品自体がとても好きです。

 同じ孤児院で育ち、同じ仲間と遊んで同じ夢を見てきたブランドンもハリーも、組織の中で成り上がっていく内に次第にその根本的な部分にズレが出て、欲の赴くまま高く高く上を目指すハリー。ファミリーのため、ボスのため、マリアのために鉄の掟を貫くブランドン。二人の亀裂が決定的になり、それがそのまま形になってしまう回。

 都留監督がコンテ演出両方を兼ねたこの回。流石のクオリティコントロールというか、まず口パクが恐ろしく合ってます。声優さんの演技がスポっとハマって怖いくらいの顔の演技口元の演技。ニッ、と口元を釣り上げて笑うハリーの口元の皺の怖さ。

 声優といえば、ハリーは老年期になると、浜田賢二さんから磯部勉さんに変わるのだけど、浜田さんの演技がこの回辺りから大分狂気が乗って、叫ぶシーンなんかかなり磯部さんに寄せてるよなと思うのでした。浜田さんの一番好きな役です>ハリー

 その後も、整ったせいで余計に恐ろしい表情の作画で物語は進み、注がれた赤いワインに沈むビッグダディ、高く昇ろうとしたタオルが木に阻まれるというブランドンが思い返す、あるいは思い描く風景、台詞も無く目元だけが動くハリーとビッグダディとの間の視線など、不穏な演出の下、静かに空気だけが張りつめる。

 隣に座って会話をしていて、新しくボスとなった男が倒れたと語るハリーに、ハッと顔を向けるブランドン。かつての仲間を忘れたハリーに驚くブランドン。特別問いただすワケでも無く、ブランドンがちょっとしたリアクションをするだけ。それだけの間が絶妙で、見えない亀裂がジワジワと表層に浮かび上がってきて緊張感が高まる。この話は見所だらけなんですが、二人の関係が破局を迎える、エレベーターでのやりとりからのタイトル、そしてEDまでの流れが本当に物凄い。ここだけでもオールタイムベスト級の演出。

 第一話の「この二人はどういう関係なのか」という疑問の答えまで辿り着くも、物語としてはむしろここからが始まりで、その「始まり」を彩る最高の「終わり」の回。

 

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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 43話「生と死の間で!奥義・天翔龍閃の会得」

 タイトルもサブタイトルも長い。奥義会得回です。

 るろ剣の京都編で話数単位というと、31話の剣心と薫の別れの回やVS志々雄辺りの一連の回を推す人が多い印象なんですけど、自分はあえてこっち。あえてというか、ホントにこの回大好きなので。こういう企画で細田監督が関わった回を挙げるというのは癪だなぁ、とどうでもいいことで悩んだりしたんですけども。

 志々雄を倒すべく、師匠である比古から奥義を会得しようと悪戦苦闘する剣心。二人の奥義会得の前哨戦みたいな戦いと、それに関連した原作通りのギャグや、斎藤と左之の京都での顔合わせなどの脇道もあり、一話通しての仕上がりとしては確かに上述の回に見劣りする部分もあるかもしれない。

 それでも後半、「死ぬことも恐れない」剣心が、迫る師匠の剣を前に「死ねない、死にたくない」と覚悟を固めるその一瞬。その一瞬自体はグッと引き延ばされながらも、細かいカット割と激しい音楽が剣心の心情とその過去へと誘い、テンポ自体は全然損なわれないまま、剣心起死回生の一打へと一気に移る。ここが最高にカッコいいんですよ。幼い剣心が守ろうとした女性、その剣心を逆に守ろうとした女性の言葉が胸を打ちます。この一連のシーン、このワンシーンのためだけにこの回を選んだと言っても良いかもしれない。その「一瞬」を作り出すための、剣心役の涼風さんの長いシャウトも素敵。

 同じく細田コンテ回の、対左之助二戦目辺りで使われてたのと同じ(はず)カメラポジションを再びここに持ってきて何度も繰り返す辺りも印象的。この後細田さんは登板してないので、るろ剣での仕事の集大成とも言えそう。

 

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 ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 10話「密林航路にうってつけの日

 複合エピソードと単独エピソードを公式で分けてるくらい、神山攻殻はエピソードが豊富で、それまでの話の積み立てがあってこそ面白く感じる話もあれば、単発で楽しめる話もあり、一粒で二度美味しいアニメ。「視覚素子は笑う」で衝撃を受けた人間としてはその話を挙げたい所だけど、やっぱりエピソード単位ならこのゴールデンカムイ回を。

 今まで見てきたアニメの中でもトップクラスに「胸糞悪い」の一言に尽きる、気が滅入るような回。とにかく、全編が嫌です。「戦意喪失を目論んで、現地住民を出来る限り残酷な方法で殺す」という米帝のサンセット計画。それを引きずった兵士が女性の皮を生きたまま剥ぎ、その過程を収めたデータを広めて回り、浅からぬ因縁を持つバトーが終始怒り続ける。

 真夜中の交差点、車も一切通らない横断歩道で律儀に信号を守り続けるマルコの画から始まるこの回。正しいんだけど圧倒的に違和感しかない画の力。TV未放映話ということもあって、結構遺体や殺害時の行動をハッキリ見せられ、それがまた生々しくて……。おまけに、そのサンセット計画と今回の捜査にまつわる真相がどうしようもなくて、フィクションとはいえ勘弁して欲しい嫌さ。いかにもな日本人を装ったCIA工作員も嫌ーな感じで最高なんですよ。

 そういう、嫌な部分を嫌だなぁと思いつつ、繰り返し見てしまうのは好きな部分も多いからで。例えば『イノセンス』の二人の捜査パートが大好きな人間としては、バトーとトグサの二人が刑事ドラマっぽいことしてるのも一つ。電脳で映像は見るけど、それ自体が捜査の進捗に関わるわけでなく、かといって現場を回っても進展は無いのだけれど、移動する車内での会話も含めて「足で探す」な刑事ドラマ的演出で好きなんです。脚本にはない、ラストでトグサがCIA工作員にブチ切れる辺りとか。

 あとバトーさんの渋さ。神山攻殻は、ボクシング回とかベルリン回とか、時々バトーさんが妙に渋くなるので普段とのアンバランスさで笑ってしまうんだけど、この回は徹頭徹尾カッコよくハマっているのです。

 クリミナル・マインドか何かかという厭な刑事ドラマ回。その嫌さがやっぱり好きです。

 

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  ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

世紀末オカルト学院 6話「文明の道程」

 表情アニメというものが存在する。かどうかは分からないけど、とにかく表情が魅力的なアニメというのは世の中には沢山あって、この世紀末オカルト学院もその一つ。特に黒髪ツンツン暴力ヒロインCV日笠という、特定の人種には感涙モノな主人公の神代マヤがもんの凄い顔をする。特にこの回では、彼女の怒った顔、呆れた顔、微笑んだ顔と様々な顔を非常に整った絵で拝むことが出来る。

 この回はコンテ演出が中村亮介さん、作画監督が細井美恵子さんのゴールデンコンビ。美麗な作画で、スプーンだってグングン回る。お二人の名は『ねらわれた学園』で覚えたのだけれど、過去の担当作を遡って調べていたら、リアルタイムで見ていてとても好きだったこの回があった、といった次第で思い入れも深い。脚本を担当された綾奈ゆにこさんも同じく、『アイカツ!』で気になって調べて見たら……だったので、この回には好きが詰まっているのです。

 臨死体験をして、オカルト好きだったこずえがすっかり変わってしまい、元に戻すべく再びの臨死体験を試みる話。こずえ回のようでいて、実質は文明先生回。臨死体験を通して垣間見える、決して幸福とは言えなかった彼の子供時代と、宇宙人侵略のビジョン。それを見ていたマヤが、出会いの場となった屋上で彼に手を差し伸べるという構図は、なんかもう上手いなあとしか言えん。これまでさんざな扱いだった文明と、さんざな扱いをしてきたマヤが、ほんの少し彼を知ることで距離が縮まったかな?というイイハナシダッタナーからのベタなオチ。これぞオカルト学院。普通には終わらねぇ。

 こずえをオカルト好きに戻そうと、マヤと亜美が無理矢理なオカルト攻撃をしかけていく辺りの畳み掛け具合や、こずえの心が戻ってこない真相など、所々の力の抜ける笑いが、日笠高垣花澤という美声かつ芸達者な三人が飛び道具的な少女達をより一層面白くしていてこれまた良い。

 レンズフレア、残像表現、太もも、宇宙、尻、太ももと中村亮介さんのフェティシズム全開(怒られないかなこれ)で、後の作品に繋がる要素も見えて楽しい一話です。

 

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 ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

戦国コレクション 5話「Sword Maiden」

 「好きな話数」を選ぶときに、このアニメほど話題に上りやすく、かつ票がバラけるアニメも無いんじゃないか。そう考えるのは、このアニメがほぼオムニバスであって、毎週毎週のつながりも殆どなく、その上毎回毎回方向性すら大きく変わってくるアニメだから。

 戦国世界(時代ではない)からやってきた戦国武将たちが、現世の人間と出会ったり出会わなかったりして繰り広げられる物語。その顔ぶれはちょっと挙げただけで織田信長、德川家康、前田慶次平賀源内劉備新選組とそうそうたるもの。戦国?

 そしてその話はほぼ全て何かしらの映画(中にはアニメもある)をパロディ、オマージュして作られていて、今回選んだのは、塚原卜伝×マイケル・ムーアの「Sword Maiden」 戦国?

 ドキュメンタリー作家・モースによる作品「Samurai for Murder」は、卜伝ちゃんら戦国武将のインタビューを根拠に武将たちの危険性を訴えますが、それは編集による捏造であり、怒った卜伝ちゃんはモースへの復讐を開始。

 手持ちカメラのブレや、急に始まるカートゥーン調のアニメ、主観バリバリの映像の内容など、マイケル・ムーアの作品をネタにした、やけに再現性の高い疑似ドキュメンタリーが見物。刀を使った殺傷事件の被害者の写真を、剣豪将軍・足利義輝の家の門にそっと置いていくシーンとか爆笑モノです。

 実写とアニメ、違う次元の作品を瞬時に繋げることの出来る一つの武器である声優も超効果的に利用し、『華氏911』などパロディ元のマイケル・ムーアの吹き替えを多く手掛ける江原正士さんをモースにそのまま起用。

 ドキュメンタリーの胡散臭さから、返す刀で生放送番組の胡散臭さにまで切り込んでいく痛快さ、そして凄いザックリしてるけど武将らしい解決の仕方と、その先のオチまで最初から最後まで楽しい。ちなみに卜伝ちゃん役は原紗友里さんで、モバマスの未央役として知ってから改めて見ると中々の衝撃でした。出番は少ないものの、強烈な役で小松未可子さんも出ていて個人的に嬉しい回。シンフォギア後、モーパイ放送中というブレイクギリギリ一歩手前の未だ初々しいみかこしの演技を聞こう。

 戦国武将という存在が、世間で周知されてるんだな、ということを視聴者に教えてくれたり、このところ影の薄い主人公たる信長様がどうしてるのか見せてくれたり、実は意外と親切な回でもあって、作品のスタンスのようなものが見える回なんじゃないでしょうか。正直どう楽しめばいいのか分からなかった1~4話の印象がガラッと変わり、また見返したくなる、そしてこの先も見たくなるそんな回でした。

 

anime.dmkt-sp.jp

 

 

・てなもんやボイジャーズ 1話「県警対組織暴力

 今まで挙げた回の多くが、コンセプトの「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」をぶっち切って「お前それ作品としてもかなり好きだよな」だったのに対してこの作品、この1話だけはコンセプトにしっかりと沿っている気がする。

 何故かと言うと、この1話が最高であり、ここから最終話である4話目まで(2話目はともかく)右肩下がりの一方だから。いや、こんなこと書くのは作品に対して失礼でもあるし、なるべく悪口なんて言いたか無いんだけど、この1話目が本当に大好きだけに、その後の展開に歯ぎしりする、愛憎半ばの感情を持った回。

 監督は新房昭之さん、前半2話の脚本は月村了衛さん、キャラクターデザインは石浜真史さんと、豪華も豪華なスタッフが集まって繰り広げるどうしようもなくニッチなOVA

 OPテーマは「ゲバゲバ90分のテーマ」(世代的にはのどごし生のCMでお馴染み)、EDテーマは時代劇『木枯し紋次郎』から「だれかが風の中で」 BGMに『仁義なき戦い』のテーマが鳴り響くという、当時を考えても狙った年齢層が分からなくなる謎の選曲。

 地球から宇宙の果ての高校に赴任してきた新人教師・アヤコと、同じく地球からスポーツ特待で入学した少女・若菜の二人が、廃校の憂き目にあって路頭に迷っている所に、空からロボット(理機士という。勿論「リキシ」)が降ってくる。それに乗っていた広島弁の謎の少女・パライラと共に、一路地球を目指すことに。一方でパライラを追うヤクザ組織「邪王会」と、彼女の逮捕を目論む広島県警から宇宙に左遷された刑事・横山タツエ。そんな彼女たちの任侠スペースオペラが始まる……という壮大な1話。

 そもそも、第1話のタイトルが「県警対組織暴力」です。そしてナレーションが来宮良子さん。宇宙船の内部に侵入すると広島県警のパトカーを乗り付けて「宇宙はいくら銃を撃っても始末書いらないから良いわあ」と広島弁でのたまう女刑事も出てきます。やたらとカッコいい音楽に乗せてロボットも出てきます。盛りすぎ。

 スペースオペラ任侠ロボットアクション珍道中……俺にとってはこの1話は天国だったんです。でもそんな奇怪な天国がいつまでも存在するはずもなく、3話目から雲行きの怪しかったこの作品は、とうとう4話目でお色気に舵をぶっち切り、「なぜか完」してしまう(ホントにそういうテロップが出る)。適当でも良いから、なぜかではなく「完結」してくれていれば、これほどまでに思い悩まなかったかもしれない、それくらいこの世界の下でこのキャラクター達が地球を目指すんだ!という「顔見せ」が最高な1話でした。売れなかったんだろうなぁ……。

 ニッチな要素ばかりでなく、石浜さんの洗練されたキャラデザとよく動く作画と綺麗なレイアウト(素人目ですが)など、今でも十分以上に通用する第1話なんです……。高橋美紀さん、川上とも子さん、そして広島弁をぶちかます三田ゆう子さんと土井美加さんと、豪華声優陣のテンポいい会話も面白い。バカの所にバカが集まってバカをやる話で、しかも石浜キャラだし、『R.O.D』好きの人とかきっと気に入るんじゃないでしょうか。

 1話が余りにも良かったからこその、その後の失望感。希望と絶望の相転移ソウルジェムの濁り待った無しだからこそ選んだ1話です。是非見てください……。

 

www.b-ch.com

 

 ……というわけで以上になります。ベストエピソード選出に際して、改めて自分の好みを振り返ったり発見があったりと、参加させていただいて既に自分の中には実りがありました。好きな話数について自分なりに熱く語れたのではないかな、と。そこだけは自負しております。

 改めてぎけんさんに、そしてこちらのページにまで遡って読んで下さった方にも感謝感謝です。

劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』を見た

 

(勢い余ってガンガンネタバレしまくる予定なので未見の人は回れ右かもだぜ(洋画的空気にアテられて思わず戸田奈津子訳))

 

暗い室内。一角だけ明るいモニター上を流れる情報。飛び交う「MI6」「CIA」「赤井秀一」「水無怜奈」「安室透」の文字、そして顔写真。それらを食い入るように眺め続ける一人の女性。黒の組織キュラソー。自らの役目を終え、去ろうとする彼女の元に駆けつける男たち。公安=安室透。自らの領域、警察庁に踏み入られた彼らの必死の追走を振り切り、車で逃走するキュラソー。それを追う安室の間に割って入るもう一人の男。FBI=赤井秀一。暴く者、潜む者、かつては潜み今は暴く者。三つの組織の、三人の激しいカーチェイス。逃走に失敗したキュラソーは海へと沈み、そして……。

 

名探偵コナン』劇場版シリーズも、記念すべき20作目。めでたい。

世良ちゃんショック(73巻で登場したボクっ娘女子高生探偵しかもCV:日高のり子の新キャラ、世良真純にすっかり心を奪われたという話)によって、久しく遠ざかってたコナンに復帰し、アニオリの面白さにも目覚め、異次元からは劇場で見ることにしている劇コナ。その20作目の今作には実を言うとあんまり期待してなかったのでした。

だって、ジンやベルモットが出てくる=組織絡みの話でしょ? そういう話はあくまで本誌の方でじっくりと謎に迫っていくからから面白いのですよ。あくまで何がしかの事件があって、その犯人がいて、そこに組織も絡めてくるとなるとこれは下手な脚本だとバランス良くないわ面白くないわで大変だぞと、自動的にハードルがグングン上がっていたのでした。加えて、面白くはあるものの自分の中では微妙にしこりの残る監督・静野さん×脚本・櫻井さんのコンビ。『天国』の頃ならまだしも、キールやバーボンという内部の協力者、赤井秀一やFBIという力強すぎる味方を得たコナン君。正味二時間弱の、TVシリーズとは離れての起承転結が必要になる劇場作品で、組織を絡めて一体今更どんな「ミステリー」になるというのか。

答えは簡単。「ミステリー」を消した。

 

この作品で恨み辛みによる殺人は起こらず、コナンはおっちゃんの口を借りなければ一体一で犯人を追いつめることも無い。「黒の組織」とそこに潜入しているスパイたち、そして記憶を失った構成員キュラソーを軸としたドラマが軸で、今回の江戸川は正直あんまり主人公っぽさもない。組織が狙うのはキュラソーの奪還と、キールやバーボンのスパイ行為の真偽であって、「江戸川コナン=工藤新一」の話にはかすりもせず、毎年恒例の蘭姉ちゃんピンチパートもない。

にも関わらずここ最近だと正直一番楽しめた気がして複雑で、こうしてダラダラと書いてしまっているんだなぁ。

 

静野監督の劇コナは実はまだ全部観たわけじゃないんだけど(『沈黙の15分』を見てないのは失敗したな、と思った)、それでもやっぱり「見た目は子供、頭脳は大人」の「見た目は子供」をどこかにおきざりにしたような、ド派手なアクション志向の監督だというのが一番のイメージ。アクションシーンの絵面がかなり魅力的というのは確かだけど、結果としての屋台崩しじゃなく、目的としての屋台崩しなんじゃないかという気に見ててなるようなアクションシーンの連続に、若干参ってたのも確か。だって俺が見たいのは「ミステリー」だったから。

一方櫻井武晴さんの脚本は、『絶海』の時はかなり好きだったけど『業火』は尺の配分とキャラクターの使い方が今一つ自分に刺さらなかった。何故かと今考えてみると、どうもキッドみたいな華々しいキャラクター主導の物語だったのが櫻井さんの理知的な、ロジカルな脚本と合わなかったんじゃないかなぁなんてエラそうな事を。経歴見れば歴然なように、『相棒』や『科捜研』など、キナ臭い事件や謀略じみた話の方が、合うんじゃないかなんてエラそうなことパート2。

そこのところを考えると今回は、明らかハリウッド超大作的ドンパチ志向&007的諜報戦風物語に露骨に舵を切って、『名探偵コナン』という作品を下地に互いの自己実現を成し遂げたかのような静野櫻井コンビの作風の奇跡的な融合が、作品を大勝利に導いたのではないでしょーか(意地の悪い皮肉とかじゃなくてホントに楽しかったし褒めてる)。

 

いやもう、完全に洋画というかハリウッド×イギリス映画的な映画だったんですよマジで。序盤も序盤、クレジットの出し方からしてなんだなんだミッションインポッシブルかなんなんだ、と思ってたらキュラソー対安室さんの格闘シーンと、続く、車が雨のように降るワイスピ式カーチェイスでただただ身を委ね、「今回はこういうスタンスで見れば良いんだな」とマインドをセット出来たのでかなり親切設計だった。博士の車の中で、今回の舞台となる東都水族館の説明映像が流れると「ハイハイ、今回の被害者ね」と思ってしまうくらいには。いや、あそこまでぶっ壊れるとは思わなかったけども!

話が進むと、今度はキュラソーの得た情報から各地のスパイが組織のメンバーによって狩られる。国が転々と変わり、一人また一人と暗殺されるシーン、短いながらも改めて組織の冷酷さと領域の広さが描かれてて地味に好きです。007感あって。というか『スカイフォール』感あって。その中でもスパイの一人、リースリングが消されるシークエンス。後ろから追うウォッカと、前から立ちふさがるジンのイキイキっぷりと言ったら……! 「聞こえるか毛利小五郎」辺りから鉄板となってしまった愛すべきアニキ、ジンのポンコツっぷり。まぁぶっちゃけ今回もポンコツではあるのだけれど(スイッチカチカチ→笑顔→踏む(割れない)のシーンはヤバかった)、それでもやっぱり、ウォッカやベルモットですら躊躇する中で嬉々として味方に銃を向け、楽しそうに語りかけるジンさんは冷酷さと残虐さが見られて大変良かった。いやー、ジンがエレベーターから降りてきて、縛られた安室さんの方に歩みながら鼠の話をして太ももをさすったり、金玉をロープの結び目で叩いたりしなくて良かった。

 

さて、 コナンが印象薄い変わりに今回かなり楽しかったのはやっぱり安室さんと赤井さん。特に安室さん。

良い年のオッサン二人が観覧車の上で殴り合うシーンは本当に愛おしかったです。何してるんだお前らと。心なしか赤井さんはジェット・リーっぽく見えるし。大体、アムロ役の古谷さんが安室さん、シャア役の池田さんが赤井という配役だけで出落ちなのに青山先生はオマケに安室さんの本名を「降谷」にする原作の遊びっぷり。それすらもう大概なのに、誰がトチ狂ったのかは知らないけど、今回の安室の部下の風見さんのCVがカミーユ役の飛田展男さんで、ひたすら「降谷さん」と呼ばせるという開き直りっぷり。いいぞもっとやれ。

劇場版初出演が20作目という節目で、おまけにほぼ主役的ポジションで出してもらえた、二枚目にも三枚目にもなりきれず、強くも弱くもないけど、その人間臭さが好みの安室さん。赤井を執拗に「FBI」と呼び、やたらと突っ掛っては大人な対応で躱される安室さんを劇場で見せてくれて感謝感謝。この映画、何が良いかと言うと、同じ目線で共に並べる大人がコナンの周りに二人もいること。「安室さん」「赤井さん」と呼び、彼らを頼り、心配する時の江戸川は、探偵団の面々といる時の大人びた感じでもなく、ジョディ先生たちといる時の、訳知りだけどあくまで子供な感じでもなく、もう一線踏み込んだ「高校生という実年齢からの大人への眼差し」みたいな、敬意もクソも無い工藤君にはあまり見られない珍しい一面が顔を覗かせててかなり好きなのです。まぁ松田さんとの交流まで行くと流石にちょっとこう、劇場で描いて良いレベルを過ぎるというかなんというかな気がしないでも無いですが。……ズルいじゃないっすか、そういうの。

 

そういう、キャラクター周りをキッチリ使う面白さだったからこそ細かい点が気になるというか、「名探偵コナン」であることが気になるのでした。という所で劇コナ恒例になりつつあるキャラ周りへの重箱パンチ。

ひとえに「脚本が」なんて言っても、そこには多くの人のチェックが入ってるわけで、それが真実脚本段階のモノなのかどうかも、脚本とコンテを比べて見ないと分からないのがホントの所だけど、やっぱり櫻井さんの脚本に惜しいと感じるのはキャラ周りなのです。博士が発明以外は割と耄碌爺なのはまぁ良いとして(良いのか)、今回は探偵団と、その他のキャラとの関わり方にちょっとムムムとなった。

光彦が携帯で連絡を取る高木刑事も園子も、それは「そうしないと話が進まないから」という「役割」じみた使われ方で、実際高木刑事は「いつもの流れ」でキュラソーに会わせてくれるし、園子も観覧車に乗せてくれる。でも、そこで彼・彼女の役割は終わってしまうので、その後その場にいたとしても、それが別に高木刑事でも園子じゃなくても良いんじゃない?となってしまうという話。別に悪かないけど、それならこれみよがしに携帯の画面をこっちに見せてきてまで呼んで「いつもの流れ」なんて説明放棄したメタっぽいやり方じゃなくてもっとこう……と。

あと、新一が園内にいるかも、と聞いて楽しそうに「誰といるかが問題」とハシャぐ園子は割と自分の中の園子と噛みあわないし、そもそも元太って、あんな悪びれもせずに自分の過失で落っこちて迷惑かけて次のシーンで博士をバカにするような子だったっけとか、まぁ色々あるにはあります。でもそういうのはキャラの解釈の問題だから、書きまくった割には大して気にはしていないのでした。実際面白かったし。

むしろ問題なのは、爆弾解体の時みたいに細かく心情を語る割に、キュラソーの能力の件や新一の蘭への説明を(EDでそれらしいことをしてるような暗示はあったし、「サッカーボール」に気付いた時点で新一の事件への関与に蘭が気付いただろう、というアッサリした描き方は好き)一切ないまま進めるくらいまだ微妙に枠におさまらない脚本かなぁと。FBIは結局目立った活躍を見せないし。とはいえこれもまぁ好き嫌いということで。あと今回も「真実はいつも、ひとぉつ!」でした。これが一番気になる(毎年言ってるなこれ)。

 

そういう色んな、良いところ悪いところ含めて、最終的にこの作品は相当好きな部類に(見たばっかりの状態、というのも多いにある)入ってるんだけど、その理由はズバリ一つ、キュラソー

黒の組織のNo.2・ラムの腹心。事故のショックで記憶喪失となり、探偵団の子供たちと触れ合う中で色々なものが芽生え始める彼女。

なんというか、言ってしまえばズルいですよねこのキャラ造形は。予告編見た時から、好きなデザインのキャラだなぁとは思ってたけど、蓋を開ければそりゃまぁ好きにならざるを得まいという圧倒的洋画の殺し屋キャラ。つーかレオン。組織の一員で、バリバリ戦闘もこなすけど、記憶喪失時には子供たちを見て笑顔を見せ、記憶を取り戻してからはその想い出にゆり動かされ、灰原を、皆を助けようとする。ズルいよキュラソーさん、可愛すぎんだもん。

前二作のゲスト声優が、申し訳ないけど発声演技共に役柄に対して実力不足に思えたのに対して、今回のキュラソー役・天海祐希さんは流石だった。洋画や海外アニメでの吹き替えの巧みさは知ってたので不安は無かったんだけど、記憶喪失前後のキャラの違い、凛とした声、そして最期の叫びと、いち声優としてとても良かった。

徐々に徐々に彼女を好きになりながらも、結局待ち受けてる結末はというと、因果応報というか、こうなる他ないという落としどころなんだけど……。やっぱりやるせねぇよう。無茶は承知で、どうにか生き残ってはくれまいかとか思ってるボンクラの頭を貫く「遺体」という台詞。そりゃそういう結末になるよなぁと。こういう、業を背負ってる人間の末路は好きなんだけど……好きなんだけど……!

そういう、割と感情をかき乱されるタイプのゲストキャラって個人的にパッと思いついたのが成実先生とかヒロキ君とかそんな感じだったのでやっぱりコナンらしいようなコナンらしくないような映画だったなと思いました。

 

思うままにブワっと書いたら、感想がフワフワしてるわ読みにくいわだけれど、Twitterにチマチマ書くよりは今回はこの方がしっくりくる、そんな色んな感想の出てくる楽しい映画でした。問題点が気にならずにはおれないけど、それを補ってあまりあるバイタリティに溢れた20作目。そういえば10作目のとあるキャラの声優のことを考えると、あぁ10年越しの銀幕なんだなぁとかそんな面白さも。グダグダと書いたけれど、観終ってすぐにこうして久しぶりにブログを更新するくらい好きですし、時間が合えば何回か見たいなと思います、『純黒の悪夢』

 

声優と言えば。これまでジェイムズ・ブラックの声を担当されていた家弓家正さんの逝去に伴い、ジェイムズの声は土師孝也さんが引き継ぐことに。今回ジェイムズが出ることをそもそも知らなかったので、劇場で土師さんの声を聞いてやっぱりこの人だったかと少し安心しました。というのも、自分の中で家弓さんの後任としてジェイムズ・ブラックを演じて欲しい声優の筆頭が土師さんだったんです。コナンは長期のアニメシリーズだし、既に多くのキャラクターの声優が変わっていて、それによってその前後でキャラクターに違いが出たりもしてます。家弓さんが演じられたジェイムズ・ブラックというキャラクターと、土師さんがこれから演じられるジェイムズ・ブラックというキャラクターでは、多少受ける印象も変わってくるかもしれません。だからこそ、家弓さんのジェイムズを忘れないようにしながら、土師さんのジェイムズの活躍をこれからも見ていきたいなと、ジェイムズ好きとして、土師さんのファンとして、そして家弓家正さんが大好きな一人の男として思うのでした。家弓さん、改めてお疲れ様でした。土師さん、ジェイムズ・ブラックを今後ともよろしくお願いします。

 

『名探偵ホームズ』1~4話 というかハドソンさんの話

 

いい加減更新しないとブログを書く方法を忘れそうという、文明人にあるまじき脳みそしてるので、ボソっと更新。備忘録程度に。

『名探偵ホームズ』見てます。VHSで。「犬ホームズ」とか「駿ホームズ」とか言われるあれ。これ、てっきり宮崎のおんじが全話監督手がけてるのかと思ったら初期話数だけなのね。で、今のとこめちゃ面白いっす。

 

1話「彼がうわさの名探偵」

ホームズ海賊と戦うの巻。安定のホームズとワトソンの出会いなのだけど、もう完全に「緋色」とか持ってくる気はサラサラなくて、道々ですれ違って気になった人を追って乗った船に、一緒にいた乗客同士という出会い。船に乗る時のワトソンの使い方が面白い。

んでまぁ流れるように事件なワケですが、ミステリーというより、ものっそいアクション。板の上に車を置いて海の上を走るホームズとワトソン、追う海賊、飛ぶ砲弾と弾ける波と、最高に楽しい。

出会いのあれこれを省略した分、一話から冒険活劇してて良いやね。あと、当然のように犬が喋ってるワケだけど、冒頭何分かで違和感とか全然なくなったし、もっと言えばOPの時点でハドソン夫人が超可愛い。一話からゲスト声優が土井美加さんという嬉しさ。

 

2話「悪の天才 モリアーティ教授」

わーい、モリアーティさん(CV:大塚周夫)登場だー。いや、マジで周夫さんの魅力全開じゃないですか。お茶目で憎めないタイプの悪役に周夫さん……。モリアーティってキャラでこれやるとか最高かよ。

宝石泥棒の濡れ衣着せられた金持ち(CV:辻村真人)の息子(CV:堀川りょう)の嫌疑を晴らすためにホームズに依頼に来た息子の婚約者(CV:高橋美紀)ってどんだけ豪華なのかしら声優陣。高橋美紀さんですよ高橋美紀さん。『てなもんやボイジャーズ』でお馴染みの(その認識はお前だけだ)。

ワトソンもベイカー街に引っ越してきて、ハドソン夫人に、前話でもちょっと出たレストレード警部もしっかり登場して、モリアーティ含めて主要メンバー勢ぞろいな感じ。

それにしてもハドソン夫人超可愛いですね。最近はもう『SHERLOCK』のイメージしかなかったので、若いってことだけでもうドキドキだぜ。あと、どの世界でもホームズがレストレードさんに若干疎まれてんのが笑う。

今回も船を使ってのチェイスが爽快で楽しかったっす。

 

3話「小さなマーサの大事件?」

満を持しての宮崎駿による脚本・コンテ・演出担当回。おめぇ、早速幼女登場させてんじゃねぇよ! 脚本も任せた途端にこれだからロリなおじちゃんは困るぜ。

街に蔓延する偽札と、それを作るカリオストロモリアーティ。一方ホームズは、父からの手紙で猫さがしに来た少女の依頼を受けることに。

近藤善文さんが作監だわ原画に田中敦子さんいるわで、画のクオリティが一気に上がったぞオイ。人も(動物だけどさ)よく動くし、画面に散りばめられた小物が引き立つ。

オッサン二人が顔ひっつけて一つのレンズをのぞきこんだり、窓の外からへりを伝って脱出したり、幼女による「こーんなに大きいの」アクト(トトロを参照されたい)もあり、今俺は宮崎アニメを見ているぞ感あって楽しかった。

偽札の事件の調査をするけど収穫なし、なホームズがくたびれて帰ってきてソファーに横になりながら靴をだらしなく脱ぐ所とか、広川さんの声も相まってこりゃ世の婦女子は湧いたろうぜといった趣。何してても画になるんだこれが。

マーサは、『ブレンパワード』の超可愛いショタ、カントくんでお馴染みの佐々木るんさん(これは許されるだろ)。その父に神谷明さん。神谷さんがまたカーッコいい。しかし神谷さんも、東京ムービーと長いなぁ。

手紙の仕掛けとか画的にも面白い推理パートで、アニメーターが脚本もやると楽しいモノ出て来るのねとか思ったり。

 

4話「ミセス・ハドソン人質事件」

ハドソン夫人回! ハドソン夫人回! ハドソン夫人回!

OPの胴上げされるカットで正直もうやられたと思っていたらこの回で完全に死んだ。作品によってはワトソンがヒロインになりがちだけど、この作品のヒロインはどうもハドソンさんとモリアーティみたい。

にっくきホームズを倒すためにモリアーティが考えた秘策は、ホームズが意識している(と思った)ハドソン夫人を誘拐することだった。

ということでハドソン夫人が誘拐されるわけですよ。モリアーティ一味に。眠らされて連れてこられて、起たら状況説明されて「わたくしさらわれましたの」ですよ。モリアーティがホームズとの交渉に向かって帰ってきたら、汚い(本当に汚い)部屋中を掃除してくれてるんですよ。おまけにご飯もたっぷり作ってくれて微笑んで。 

そんな女性いるわけねぇだろ!

でも良いんですアニメだから(号泣)。アニメを見る時には自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだとゴローちゃんも言ってる(息子の方じゃない)。

ナウシカとかクラリスみたいな、幸薄そうだけど気丈でドッシリしてるヒロインに、おまけに天然要素も足して、駿は俺たちをどうしたいんだよ。というか、これを少年時代に見てればケモナーだって出てきますわな。

そりゃモリアーティも惚れるわ。「お前は私の虜だ」とか言ってたクセに、そっちが違う意味で虜になって、ホームズ亡き後の二人の生活まで夢見ちゃってますよこの人。

そんなモリアーティがホームズに出した交換条件が「絵画盗んで来い」で、さてどうなるやらと楽しかったです。

刑事とレストレードの「何事です!」「原作を読んでないのか!」ってやり取りがズルい。

 

というわけで、大いに楽しんでます。実に楽しい冒険活劇で良いんだけど、何といっても広川太一郎さんのホームズの、気だるげでかつ紳士然としたカッコよさが堪らんですな。ちょっとした台詞の感じがセクシー。今後の話もここに書くかどうかはさておき、今後もちまちま見ていこうかなと(ただしVHS)。

それにしてもEDの「24時間頭の中で何かがダンスしてる人なんだから」って歌詞はすげぇな。

 

『ドクター・フー』が面白かったという話

あけましておめでとうございます。もう2月ですけどね。前に書いた時から半年近く。ワオ。

始めてみて分かったけど、ブログって意外とめんどくさいんですねぇ。何書くか考えないととっ散らかるし(今がまさに)、考えれば時間かかるし。皆さんすげい。

ものぐさ魂には、パパっと思いついたことをサクッと書けちゃうツイッターがぴったり来るのでした。

 

 

というわけで、イギリスが産んだSFドラマシリーズ『ドクター・フー』のシーズン1を、どんなもんじゃいと見始めたら、あんまり面白くて3日たらずで見終えてしまったのでした。ファンタスティック。

 

そも『ドクター・フー』とは何ぞや。

時空を行き来できる宇宙人、通称「ドクター」が、地球人の同行者と共に未来に行ったり過去に行ったりしながら、そこで巻き込まれた宇宙人との騒動をどうにかこうにか解決したりするSF冒険譚。

過去の世界で、未来の世界で、現代で。SFとオカルトとホラーが入り混じったワクワクする物語に溢れていて、大いに笑う話があり、真面目なのにジワジワくる話もあれば、かなり怖い話もあり、感動だってさせてくれます。

そんなごったがえしたお話を彩るのは、予算があるんだか無いんだか分からない凄くレトロでチープで愛おしいビジュアルの数々。

タイムトラベルに使う装置ターディスは、電話ボックス(ポリスボックス)の外見にカモフラージュされているが中は広い。

過去にドクターの種族と大きな戦いを繰り広げた、宿敵ダーレクの姿は、何というか禍々しいR2-D2

出てくる宇宙人はキモいスター・ウォーズみたいなデザインばっかで見てて楽しいです。

そんなB級感溢れるビジュアルと、「古き良き」な王道SF物語で作られる世界がひじょーに好み。

 

Wikipedia先生によると(ダメじゃん)、その歴史は1960代まで遡り、世界で最もエピソード数の多いSF番組としてギネスにも登録されているとのこと。

そして、1989年に一旦終了したシリーズが2005年に再開したのが、今回俺が見たシリーズ。

なので正確にはシーズン幾つ目なのか分からない(調べるのがめんどくさいとも言う)ので、便宜上のシーズン1。

 

そんな『ドクター・フー』の設定で個人的に熱かったのが、ドクターの種族は死に際して別の身体に転生することができ、姿形や性格はちょっと違っても、それは皆同じドクター。

何十年も前の俳優が演じたドクターも、最近の俳優が演じてるドクターも、皆同じドクター。役者の交代に合わせた設定だったんだろうけど、連綿とシリーズが続いた結果、大河的で素敵な設定に。

 

そんなわけで、ここからは備忘録的に各話の感想をば。ネタバレ多いのでお気をつけくだされ。

 

 

エピソード1 「マネキン・ウォーズ」

地球人ローズとドクターの出会い、そして冒険の始まり。

舞台は現代のロンドン。

いきなり「マネキンが動き出す」なんて話を繰り広げながら、着地点は異星人による侵略と、ごくごく真っ当なSF。

窮地を助けてくれた男を探していくうちに、彼が歴史上のあらゆる記録に残っている謎の多い人物だと分かった時の高揚感。それを教えてくれるドクター研究家が妻子持ちの普通のオタクなことにほっこり。

成り行きから行動を共にし、問題を解決し終えて、冒険へと誘うドクターと、一歩を踏み出すローズの姿。何を見せてくれるのかとドキドキワクワクな第一話。

マネキン化したローズの恋人ミッキーのビジュアルの面白さがヤバい。

 

エピソード2 「地球最後の日」

舞台は一気に未来へ飛んで、地球の終焉を観光に来たツアー団体の宇宙ステーションの中。

宇宙各地からやってくるバラエティー豊かな異星人たち。

水槽に浮かぶ巨大な顔、フェイス・オブ・ボーもツボだけど、最後に残った「純粋」な地球人が顔の張り付いた皮だけというのが反則級に面白い。乾燥するから「水をかけて」とか言い出すので本当にズルい。異星人に囲まれてちょっと傷心気味のローズとのトゲトゲしたやり取りが面白かった。

その中で起こる異常事態と、迫り来る地球の最後。

前話でも出ていた戦いをあまり好まない、人の死を望まないドクターの姿が早速強く出てた。

サスペンス調な話で、ドクターの過去にもちょっと触れられ、世界が少しずつ広がっていくのが良いですね。

 

エピソード3 「にぎやかな死体」

現代、未来と来れば、お次は過去。

1869年のカーディフを舞台に、ドクターとローズ、そして講演会をしていたチャールズ・ディケンズが、動き回る死体の謎に挑む。

一度地球という星の終焉を見せながら、その次の話に出てくるのが実在の作家、という振り幅がズルいですわ。

そして流石はBBC、過去の街が映える映える。バシッと決まったビジュアルが堪らない。

SFというよりもゴシックホラーな話の運びだけど、普通ならゾンビやら幽霊やらになりそうなところをそうしないのがまた上手い。

そしてシリーズ通しての伏線なんかもしっかり張られていて、改めて見事な作り。

脚本は、BBCのドラマ「SHERLOCK」のマイクロフト役、及び脚本でお馴染みのマーク・ゲイティス。後述のスティーブン・モファットも参加していて、原点はこの辺りにもあったんだなぁとボンヤリ。

 

エピソード4 「UFO ロンドンに墜落」

エピソード5 「宇宙大戦争の危機」

前後編ー

現代に帰ってきたローズとドクター。しかしターディスの設定ミスで、最初の出発から一年が経っていた。

心配していた母からは冒険を止めるよう言われ、ドクターは殴られ。

そんな中、ロンドンのビッグベンにUFOが墜落。対策を練るため集まった議員たちの様子がオカしく……。

トップクラスにB級な宇宙人スリジーンファミリーの出オチ感。

しょーもないながら、陰謀論めいた話が二話かけて着々と進んでいくのが面白い。

一話では蚊帳の外気味だった母とミッキーもピンチに直面し、ちょっとずつドクターへの信頼感が生まれてくるのが丁寧で好きだ。

あとこの一年、ミッキーはローズのお母さんにローズを殺したと疑われていたというのが地味に酷くて笑う。

前後編かけた割にはザックリした話だったけど、これまで以上に追って追われてな戦いが楽しかった。

ドクターやローズと共に戦う議員さんのキャラがまた良い。

ラストの、お母さんの「10秒経ったわ……」がせつねぇ。

 

エピソード6 「ダーレク 孤独な魂」

アメリカの地下深く、救難信号をキャッチしてドクター達が来た先は、エイリアンの品々を集めた博物館。

そこの人間たちに捕らえられたドクターは、救難信号を発していたエイリアンの元へと通される。その正体は、かつての大戦でドクター達「タイムロード」と戦い、共に滅びたハズの宿敵、ダーレクの生き残りだった。

中盤に差し掛かって、一つの転換点みたいな回。

ダーレクのいる場所に閉じ込められ、「出してくれ」と叫ぶドクターに、見てるこちらが慌てる。

そのダーレクの姿がまたシュールなのだけれど、力を得た時の無慈悲さ、強さがまた怖いこと。

声は最初からめっちゃ怖い。

彼を殺そうとするドクターと、ダーレクの変化を見て、彼を生かそうとするローズ。

殺伐とした話で、今までと違って本気で焦り、怒るドクターや、ローズの成長が一気に見られる回。

助手のお姉さんが中々良いキャラしてたので、再登場しないかな。

 

エピソード7 「宇宙ステーションの悪魔」

地球帝国華やかなりし頃、人類の文明が最も輝いていた頃の未来、宇宙ステーション「サテライト5」へと飛んだドクター達。しかし、文化は粗雑で情報は統制されていて、それはドクターの知っている世界ではなかった。

デモリションマン』と『12モンキーズ』みたいな未来感。ニュースの報道時に、頭の一部が開いて直接脳に情報を接続させるという凄い光景が見られますよ。

支配者を倒すべく上へと上がっていくベタベタな展開も楽しいし、そのグロテスクな容貌もB級感に溢れてる。

前話から同行していた少年の顛末も、可哀想でありしょうがなくもあり。

あと、敵側にサイモン・ペッグがいて笑う。

 

エピソード8 「父の思い出」

ローズが物心つく前に事故で死んだ彼女の父親。孤独に死んでいった彼のそばにいてあげたいと、事故の当日へと遡る二人。

しかし、その光景に耐えられなかったローズは、思わず父を救ってしまう。

このシーズンだと、一番好きな話かな。

「父親」「事故」「過去」「改変」なんて、ベタベタな要素からベタベタな話が出来上がるわけですが、それゆえにグッとくる。

過去を変えてしまえばその結果引き起こされることもあるわけで。

ドクターは自分の行うことの意味を理解してるけど、そこまで理解の及んでないローズはその後も楽しそうに父親と話し合う。この差が浮き彫りになる回。

歪んだ時間軸を浄化しようとやってくるクリーチャーのおっかなさも一風変わってて素敵。

そして次第に、全てを察し受け入れていく父の姿に泣ける。

変わらなかった事実と変わった経緯が救いに満ちていてとても良いです。この辺りかららようやくローズがカッコよくなってきた。

 

エピソード9 「空っぽの少年」

エピソード10 「ドクターは踊る」

またまた前後編。

危険信号(宇宙では紫。赤なのは地球だけなんですって)を放つポッドが地球に落ちそうなのを確認し、それを追い、1941年、第二次世界大戦最中のロンドンへとやってきた二人。

落ちたポッドを探すドクターは、空襲の中他人の家から食料を盗み、子供たちに分け与える少女に出会う。

一方ローズは元タイムエージェント、現在自称犯罪者のジャック・ハークネスと出会う。

脚本は「SHERLOCK」でおなじみスティーブン・モファット。後にドクター・フーの製作総指揮を勤めることになる彼の二本。

ヒューゴー賞の短編部門を取ったというこの話、文句なしに面白かった。

4,5話もそうだったけど、前後編は特に話の進む先、行き着く先が全く分からない。

特にこの話は、「ママを呼ぶ少年の声」「落ちたポッド」「ガスマスク」「伝染する傷」「タイムエージェント」と、要素一つ一つがどう絡むのかがサッパリで、見ていく内に全てが収束していくエラいお話でした。

ローズと新キャラ、キャプテン・ジャックとのやり取りも面白く、サイキック・ペーパー(相手に見せたいものが映る)を看破したり騙したりと、これまでの経験が活きていて何だか嬉しい心持ちに。

それにしてもガスマスク周りの描写完全にホラーで、子供が見たらトラウマものじゃないのかしら。

 

エピソード11 「悲しきスリジーン」

現代のカーディフ。3話の事件で出来た次元の裂け目が開き、そこからターディスの燃料を補給するドクター。

ローズやジャック、ミッキーと楽しく食事をするドクターだったが、カーディフの新聞を見て仰天する。そこに映っていた市長の姿は、あのスリジーンの生き残りだった!

一発ネタじゃなかったんかい。というわけで、5話の続き。舞台が3話のカーディフだったり、シリーズ通しての繋げ方が上手いなぁ。

前回は宇宙規模のビジネスで、今回は脱出の手段。つくづく地球ってば……。

人間の皮を文字通り着るスリジーンの、人間として暮らしすぎたがゆえの悲哀。追っかけっこもあるにはあるけど、ドクターとスリジーン、ローズとミッキーそれぞれの静かな会話が印象的。

最後の結末は詰まるところ、望みであったわけで。何ともいえない気分になる話だった。

ジャックの宇宙ジョークがサッパリわからねぇ。

 

エピソード12 「バッド・ウルフ」

エピソード13 「わかれ道」

前後編であり、クリストファー・エクルストン演じるドクターの最終エピソード。

謎の光に包まれ、バラバラになった三人は、ワケも分からないままそれぞれTV番組に出演させられる。

ドクターは同居人と規則通りに住まわされる番組(これがテラスハウスか)、ローズはクイズ番組。そして、規則を破った者、クイズに負けた者は消滅させられてしまう。

すぐに脱出したドクターは、そこがかつて、自身が正しい道を示したサテライト5であることを知る。

というわけで、シーズン1の最終エピソード。一応正確にはもう一話残ってるんですが、キリが良いのでここで終わりに。

どういう形でケリをつけるのかと思っていたら、やっぱり出てきた最大の敵。ちゃんと復活には理屈もあるので、まぁ納得。

ドクターが時間を移動して干渉するその責任のような話もあって、中々にキツい。

ドクターが敵の本陣に乗り込む、ドクターに助けられ、彼に色々と教えられたローズが、彼を助けるためにターディスに乗るなど、最終エピソードだけあって熱い展開てんこ盛り。

今まで散りばめてきた伏線や人間関係がクライマックスに向けて結実していくのが良かった。

それにしても、随分若返ったなドクター。

 

 

と、全13話大いに楽しませて頂きました。他では絶対見られないだろうなと感じる物語、ビジュアルで大満足。

未知の領域に踏み出していく興奮、既知の世界と未知の世界とが溶け合っていく楽しさ、シリーズ通しての壮大なスケールの面白さにワクワクドキドキしっぱなしで、これからまだまだ先が長いのが嬉しくて仕方ないです。

それにしてもドクター役、クリストファー・エクルストンが最高の一言で、笑顔や憂い、早口な喋りに立ち居振る舞い全てが魅力的。深く刻まれたその演技に10代目ドクター、デイヴィッド・テナントがどうアプローチしてくるのかも非常に楽しみ。

huluで見たので字幕だけだったんですけど、吹き替えだと山路さんがドクターで、真綾さんがローズ……。気になる……。

『ザ・フォロイング』 ケヴィン・ベーコン vs 殺人テラスハウス (ちょいネタバレあり)

前の記事から早速三ヶ月経ってしまった。

 

というわけで、TVドラマ『ザ・フォロイング』を見ました。

主演はケヴィン・ベーコン指数でおなじみ、マイベストオブ鼻の穴の大きい俳優・ケヴィン・ベーコン。吹き替えは山路和弘さん。

彼演じるところの酒浸り元FBI捜査官ライアン・ハーディが主人公。彼がかつて捕まえた連続殺人犯、ジョー・キャロルが脱獄し、その捜査の協力のために彼は復帰を要請されます。

 

ジョー・キャロルを演じるのはジェームズ・ピュアフォイ。『バイオハザード』のあいつ。悪い顔ですが、東地さんの吹き替えのおかげで尚悪い。

元教師で、本も出している彼には熱心な心奉者(フォロワー)がおり、彼ら彼女らを使って獄中から事件を引き起こし、ライアンを翻弄して楽しみます。

どーして彼がライアンに執着しているかというと、元奥さんとライアンが、彼を捕まえた後ねんごろに。

というところで、FBIと彼の殺人教団の戦いが勃発。

 

こう書くとサイコサスペンスのような感じですが、その面を被った恋愛刑事ドラマでした。

序盤で出てくる教団側のエマ(リーダー格の女)、ジェイコブ(エマと付き合ってる。ゲイのふりをしていた)、ポール(同じくゲイのふりをしていたが、マジだった)の三人組が絶妙な三角関係で、隠してる秘密なんかもあったりして、人間関係が地獄。

序盤の敵側の視点が彼らなんですが、延々その地獄が続きます。

そして中盤からは殺人教団の本部に移り、ようやく終わるかと思いきや、そこでもまた女性関係やら何やらの内輪モメがまだまだ続く。

同じ人殺しなんだから仲良くしろよと思いますが、人殺してるような連中だから仲良くできないんでしょうか。

見たことないけど、自分の中のテラスハウスの印象はこれで決まり。

  

正直キャロルにカリスマ性が微塵も感じられなかったのだけれど、それは置いておくとして、教団の全容。

警察内部やFBIにも協力者がおり、「私達も仲間よ」的展開が少しありまして、ジングォン派かよと。

別に良いのだけれど、それをやられると、見てる側が誰も信用出来なくなるので、ちょっとズルいなと。 

 

そして教団を追うFBI。彼らが有能だったらもう少し面白かったんだろうけど、残念ながら無能。能が無いと書いて無能。

教団の取る行動は大体

  • 人を殺す
  • 人を誘拐する
  • 人を誘拐して殺す

に分けられるんですが、対するFBIの行動は

  • 犯人を逃がす
  • 犯人を射殺する
  • 犯人を逃がすが射殺する
  • 捕えた犯人を殺される

です。

頼むから頑張ってくれ。

おかげで中々話に進展がなく、情報を得る手段もほぼライアンによる暴力というマンネリ具合。

しかし、容赦なく殴る、蹴る、折る、撃つの四拍子揃った独断行動マンであるライアンさんは見ていて楽しいので、バランスは取れてるんだと思う。

一応彼には相棒もいて、X-MENアイスマンこと、ショーン・アシュモア演じるマイク。

序盤はそんなライアンを静止していたマイクも、教団にボコられライアン化。キレた目で拳を叩き込むように。

敵も味方もサイコ。

 

失敗がドツボにハマり、どんどん状況が悪くなるというのが敵味方双方で起こる、シリアスな『ペイン&ゲイン』

おまけにFBIの上司や教団の無能のせいで、どっちサイドもスムーズに進まず、つのるイライラ。

しかし、ボロクソ書いておきながらこのドラマ、結構楽しみました。

展開が遅いが緊迫感のあるシーンが続き、大筋の事件(流石に詳細は略)も続きが気になり、ドラマでは珍しく数日で見てしまうほど。

何より、ケヴィン・ベーコンがカッコいい。

あの哀愁漂う表情、動作。彼を見てるだけで十分満足です。

しかし実際、期待を裏切られ続け、ラストも海外ドラマ定番のクリフハンガー

シーズン2はどうしようか悩むところです。

あと、ウィキペディアはネタバレの宝庫ですのでお気を付けあそばせ。