タイトル未定

アニメとか映画とか小説の感想を書いたりします。予定です。未定なんです。

マイベストエピソード企画 10選

 今度は更新までたった四ヶ月しかかかってない(白目)。

 前置きはサクっと捨て置き本題。ぎけんさん(@c_x)のベストエピソード企画に参加させていただきました。

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 ・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
 ・ 選ぶ話数は5~10個(最低5個、上限10個)
 ・ 1作品につき1話だけ
 ・ 順位はつけない
 ・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)
 ・ 画像の有無は問わない
 ・ 締め切りは8月末まで

 のルールの下に、アニメ作品の好きな話数を選出する企画。Twitterのフォロワーさんの呟きをきっかけに知り、楽しそうだなぁやってみたいなぁと思った次第。

 とはいえ、そもそもブログを立ち上げたは良いものの全く活用しておらず、ここ最近はアニメの批評感想すらマトモにしてないような人間が参加してよかんべか、と思い逡巡しまくった末に月末になってしまいまして。

 でも参加しないと多分後悔しそうな気がするしなぁと、意を決して参加を表明。突然かつ締切直前にも関わらず、快く参加をお許しいただき改めて感謝です。

 しかし、書き終わって読み返すだに(各話の方から執筆)、こんなんで良いのだろうかという不安が。普段から勢い任せの文章で、「人が読む」という意識が欠けっぱなしなので、既視聴者向けなのか未視聴者向けなのかも判然とせず、紹介なのか感想なのかも曖昧で、もそっと文章書く力を鍛えようかと思いました。

 色々とボヤっとした内容ではありますが、「好き」「見てほしい」を第一に選んだベストエピソード10選です。布教用に配信ページも一応張っつけてます。ではでは。

 

デスノート 7話「曇天」

 実写映画版やドラマ版に比べると話の筋は忠実ではあるものの、原作を再解釈して、不要なエピソードは省略し再構成、終盤に大きな改変を加えるなど、「原作に忠実であるよりも誠実に」(本作にも参加されている演出家、中村亮介さんの言葉)なアニメ版デスノート

 警視庁を訪れた月が、恋人のFBI捜査官をキラに殺されたと推理する元FBI捜査官の南空ナオミと出会い、不審に思った月が彼女を外に誘い、そこで彼女の推理を聞くのが前回まで。 

 ナオミの持つ情報は、実はLに伝わればすぐに月=キラと発覚してしまう代物なので、月としては警視庁で彼女が捜査本部に接触してしまう前に始末したい。警視庁に戻るまでの道のりで何とか彼女の名前を知り、ノートによる殺害を行いたいが、ナオミもかなり敏い人物で、下手なことを言おうものなら疑われかねない。そんな月の悪戦苦闘が楽しい回。

 原作ではこのエピソード、最初から雪が降っているのだけど(たしか)、アニメでは後半から降り始め、それまでも薄暗かった風景の色合いが更に暗くなる。作品全体を通して心理描写などでの色使いや光の派手な当て方が特徴で、それらに比べると地味だけど結構好きな演出。

 見所は終盤。本当の名を聞きだしたキラがノートに彼女の名前を書き、妙に時計を気にする彼に疑問を持ったナオミがそのことを訪ねると、勝利を確信している彼は「キラだから」と答える。

 原作では、動揺したナオミが疑問を口にしているが、アニメではただ、彼女の表情の変化を映すだけ。自分が今まで信頼していた相手の言葉を飲み込み、理解するまでの一瞬の、まさに「息を呑む」瞬間。勝ち誇る月を挟んで再び映し出されたナオミの顔は、ノートに支配された彼女の"自分が考えられる最大限の遺体の発見されない自殺の仕方だけを考え"た虚ろなもの。そして彼女が歩みを進める先は……。圧巻の演出です。

 その場で、会話の中から名前を聞き出す糸口を作りだす月の頭のキレや、彼を「Lに近いものを感じる」と評すナオミなど、月という主人公の恐ろしさが存分に出ながら、もしノートを拾わなかったら、という想像をさせる物悲しさもあり。それまで目の前で話していた人間がノートに意思を支配される残酷な変化を捉えた、ラスト5分のキレッキレの演出が凄いです。

 演出は今をときめく伊藤智彦さん。このアニメではかなりの数登板されてますのでそれらもオススメ。

 

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銀河英雄伝説 83話「祭りの後」

  この作品に関してだけは、ネタバレは余りしたく無いのだけれど、この回の話をするには、どうしても本筋に多少なりとも触れなくてはならないのが苦しい所。

 かいつまんで書くと、自分たちの陣営からちょっと遠くまで出かけた重要な登場人物が前回で亡くなっています。前回は、彼が死ぬその時を描いたもの。そして今回は、彼の死を知り、残された者たちがどう考え、どう行動していくかを描いたもの。

 死んだ人間に対しての様々な距離感が一話の中で凝縮されていてとても好きです。少年は自分の感情を隠そうともせず、一方で周りの大人は、動揺するも死を受け入れ、ならば次にどうするか、という所を考えてます。あぁ、これが大人だと、年齢と経験と立場の差がとても端的に表れてます。

 その死の現場は普段いる場所から離れているので、彼の死だけは通信で伝わるものの、そのリアクションまでは、少年たちが戻ってくるまで描かない。そして、戻っていくとそこにいる者たちもまた、悲しみを言葉にするものの、落ち着いて「次」「これから」を考えてる。彼らなりに感情を発露する時もあっただろうけど、そこは描かれず、年齢の差と同時に、死の受け止め方に対する物理的な距離の差、時間の差というものも一話の中で描かれていて驚いた。

 彼の死に対して、普段は見せない表情を見せ、普段は語らなかった心情を語る人たちの姿が胸を打つし、この回の中で激しい感情を見せる二人の立ち位置もまた泣ける。

 「残された人々」が選択し、「残った人々」になった時に、その行動には彼の死を無駄にはしないという強い意志が感じられ、陳腐ではあるけど「心の中で生き続ける」を真っ当に描くとこうなるのか、と。

 そして、ある女性声優さんの演技がその人のベストアクト級に凄い回でもあるんですが、それも若干ネタバレでうーん。というか、ネタバレに配慮したおかげで物凄く抽象的な文章に……。

 とにかく、「死んだ人間の時間は止まっても、周りの人間たちも含めて歴史は動く」という個人的にとても弱い話で、この回は特にそれが強く感じられていて好きなのです。

 

http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=1377

 ※(該当話数は3期であり、またこの作品は月額会員見放題作品でもありません)

 

TIGER&BUNNY 15話「The sky's the limit… 限界は空高くに…」

 タイバニより、スカイハイ回。これまでキング・オブ・ヒーローとしてヒーロー界のトップに君臨してきたものの、ジェイクとの戦いに敗れてから自信を無くして落ち込み、良いとこ無しの日々。そんなスカイハイの切ない話。

 タイバニ全体を通してだと、もっと好みの演出だとか好きな話だとかがあるっちゃあるんだけど、エピソード単位で挙げるならやっぱりこれかな、というチョイス。

 一目惚れした相手を、そうと知らずに倒してしまう定番の悲しい話だけど、タイバニらしく合間合間の笑えるシーンが多い。カッコよくキメたバニーの上半身裸の水着姿と、対してコミカルな全身タイプの水着姿の虎徹。スカイハイの恋の悩み発言に食いつく女子組と、その迫力に圧倒されるスカイハイ。少女マンガのようにスカイハイの心情に呼応する公園の噴水など、いつもと変わらずコミカルで楽しいのだけれど余計にその結末にションボリする。噴水のラストの使い方なんて天丼ギャグからの落差が。

 それ以外にも、スカイハイの恋するアンドロイド、シスの不気味な挙動や戦闘シーンも見所で、メッキが剥がれたシスが画面奥1カットで虎徹の頭を持ち上げて歩き続ける怖い描写が印象的。

 他愛も無さそうな会話からベンさんが重大なことに気付いてしまうシーンや、バニーの両親のアンドロイド開発など、今後に繋がるシーンも多く、サブエピソードでも話を進めることに抜かりないタイバニらしい回でもある。

 ちなみにゲスト声優が宮本充さんと矢島晶子さん。さとう監督も携わった『THE ビッグオー』からのニクい配役。

 

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A.D.POLICE 2話「ザ・リッパー」

 全3話のOVA版の方。バブルガム・クライシスのスピンオフ作品だけど、こちらからでも十分面白い(というか俺は更にスピンオフ先のパラサイト・ドールズから見た)。

 実は意外と暗いバブルガムクライシスだけど、それよりも尚暗くて、陰鬱な感じが好きなのです。体の機械化がカジュアルに行えるようになっているので、ガラの悪いニーチャン連中のビジュアルが北斗の拳だとかブレードランナーといった世紀末感があって楽しい。

 廃止されながらも何故か電力が供給され続け、動く無法地帯と化した地下鉄環状線。そこで起こった連続女性殺人事件は、いずれも局部を切り取られたモノだった。

 犯人はブーマ(アンドロイド)なのか、人間なのか。何故そんな殺し方をするのか。様々な謎が、この作品の「人と機械の境界線」みたいなテーマの下に明らかに。

 「THE MAD CRIMINAL INVESTIGATION FILE OF TOKYO ADVANCED POLICE」

という副題のこのアニメらしく、ゴアくエロい描写も多々あるのでそれなりに人は選ぶ作品でありこの回なんですが、人と機械の境界線を取り扱ったこの作品と、今回結び付けた題材、そしてその帰結が好きで選びました。

 脚本は、まだ会川だった頃の會川昇さん。台詞選びの一つ一つがカッチョいいです。最後のモノローグが最高にイカす。

 

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GUNGRAVE 14話「DIE」

 もう既に何人かの方が挙げてらして、お前ごときに語ることがこれ以上あるのかと言われたら死ぬんだけど、いやしかし「好きな話数」という話なら個人的にここは外せまい、というわけで。先達の記事も敢えて読まずに書きます。書いた後で読んで己の未熟を恥じます。

 「変わってしまったのはお前か俺か」そういう、すれ違いの上の関係の破局というのが大変好みなんですが、マフィアの政争の下に男同士が、というノワール映画の鉄板をアニメで見られるガングレイヴには燃え燃えで、作品自体がとても好きです。

 同じ孤児院で育ち、同じ仲間と遊んで同じ夢を見てきたブランドンもハリーも、組織の中で成り上がっていく内に次第にその根本的な部分にズレが出て、欲の赴くまま高く高く上を目指すハリー。ファミリーのため、ボスのため、マリアのために鉄の掟を貫くブランドン。二人の亀裂が決定的になり、それがそのまま形になってしまう回。

 都留監督がコンテ演出両方を兼ねたこの回。流石のクオリティコントロールというか、まず口パクが恐ろしく合ってます。声優さんの演技がスポっとハマって怖いくらいの顔の演技口元の演技。ニッ、と口元を釣り上げて笑うハリーの口元の皺の怖さ。

 声優といえば、ハリーは老年期になると、浜田賢二さんから磯部勉さんに変わるのだけど、浜田さんの演技がこの回辺りから大分狂気が乗って、叫ぶシーンなんかかなり磯部さんに寄せてるよなと思うのでした。浜田さんの一番好きな役です>ハリー

 その後も、整ったせいで余計に恐ろしい表情の作画で物語は進み、注がれた赤いワインに沈むビッグダディ、高く昇ろうとしたタオルが木に阻まれるというブランドンが思い返す、あるいは思い描く風景、台詞も無く目元だけが動くハリーとビッグダディとの間の視線など、不穏な演出の下、静かに空気だけが張りつめる。

 隣に座って会話をしていて、新しくボスとなった男が倒れたと語るハリーに、ハッと顔を向けるブランドン。かつての仲間を忘れたハリーに驚くブランドン。特別問いただすワケでも無く、ブランドンがちょっとしたリアクションをするだけ。それだけの間が絶妙で、見えない亀裂がジワジワと表層に浮かび上がってきて緊張感が高まる。この話は見所だらけなんですが、二人の関係が破局を迎える、エレベーターでのやりとりからのタイトル、そしてEDまでの流れが本当に物凄い。ここだけでもオールタイムベスト級の演出。

 第一話の「この二人はどういう関係なのか」という疑問の答えまで辿り着くも、物語としてはむしろここからが始まりで、その「始まり」を彩る最高の「終わり」の回。

 

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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 43話「生と死の間で!奥義・天翔龍閃の会得」

 タイトルもサブタイトルも長い。奥義会得回です。

 るろ剣の京都編で話数単位というと、31話の剣心と薫の別れの回やVS志々雄辺りの一連の回を推す人が多い印象なんですけど、自分はあえてこっち。あえてというか、ホントにこの回大好きなので。こういう企画で細田監督が関わった回を挙げるというのは癪だなぁ、とどうでもいいことで悩んだりしたんですけども。

 志々雄を倒すべく、師匠である比古から奥義を会得しようと悪戦苦闘する剣心。二人の奥義会得の前哨戦みたいな戦いと、それに関連した原作通りのギャグや、斎藤と左之の京都での顔合わせなどの脇道もあり、一話通しての仕上がりとしては確かに上述の回に見劣りする部分もあるかもしれない。

 それでも後半、「死ぬことも恐れない」剣心が、迫る師匠の剣を前に「死ねない、死にたくない」と覚悟を固めるその一瞬。その一瞬自体はグッと引き延ばされながらも、細かいカット割と激しい音楽が剣心の心情とその過去へと誘い、テンポ自体は全然損なわれないまま、剣心起死回生の一打へと一気に移る。ここが最高にカッコいいんですよ。幼い剣心が守ろうとした女性、その剣心を逆に守ろうとした女性の言葉が胸を打ちます。この一連のシーン、このワンシーンのためだけにこの回を選んだと言っても良いかもしれない。その「一瞬」を作り出すための、剣心役の涼風さんの長いシャウトも素敵。

 同じく細田コンテ回の、対左之助二戦目辺りで使われてたのと同じ(はず)カメラポジションを再びここに持ってきて何度も繰り返す辺りも印象的。この後細田さんは登板してないので、るろ剣での仕事の集大成とも言えそう。

 

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 ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 10話「密林航路にうってつけの日

 複合エピソードと単独エピソードを公式で分けてるくらい、神山攻殻はエピソードが豊富で、それまでの話の積み立てがあってこそ面白く感じる話もあれば、単発で楽しめる話もあり、一粒で二度美味しいアニメ。「視覚素子は笑う」で衝撃を受けた人間としてはその話を挙げたい所だけど、やっぱりエピソード単位ならこのゴールデンカムイ回を。

 今まで見てきたアニメの中でもトップクラスに「胸糞悪い」の一言に尽きる、気が滅入るような回。とにかく、全編が嫌です。「戦意喪失を目論んで、現地住民を出来る限り残酷な方法で殺す」という米帝のサンセット計画。それを引きずった兵士が女性の皮を生きたまま剥ぎ、その過程を収めたデータを広めて回り、浅からぬ因縁を持つバトーが終始怒り続ける。

 真夜中の交差点、車も一切通らない横断歩道で律儀に信号を守り続けるマルコの画から始まるこの回。正しいんだけど圧倒的に違和感しかない画の力。TV未放映話ということもあって、結構遺体や殺害時の行動をハッキリ見せられ、それがまた生々しくて……。おまけに、そのサンセット計画と今回の捜査にまつわる真相がどうしようもなくて、フィクションとはいえ勘弁して欲しい嫌さ。いかにもな日本人を装ったCIA工作員も嫌ーな感じで最高なんですよ。

 そういう、嫌な部分を嫌だなぁと思いつつ、繰り返し見てしまうのは好きな部分も多いからで。例えば『イノセンス』の二人の捜査パートが大好きな人間としては、バトーとトグサの二人が刑事ドラマっぽいことしてるのも一つ。電脳で映像は見るけど、それ自体が捜査の進捗に関わるわけでなく、かといって現場を回っても進展は無いのだけれど、移動する車内での会話も含めて「足で探す」な刑事ドラマ的演出で好きなんです。脚本にはない、ラストでトグサがCIA工作員にブチ切れる辺りとか。

 あとバトーさんの渋さ。神山攻殻は、ボクシング回とかベルリン回とか、時々バトーさんが妙に渋くなるので普段とのアンバランスさで笑ってしまうんだけど、この回は徹頭徹尾カッコよくハマっているのです。

 クリミナル・マインドか何かかという厭な刑事ドラマ回。その嫌さがやっぱり好きです。

 

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  ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

世紀末オカルト学院 6話「文明の道程」

 表情アニメというものが存在する。かどうかは分からないけど、とにかく表情が魅力的なアニメというのは世の中には沢山あって、この世紀末オカルト学院もその一つ。特に黒髪ツンツン暴力ヒロインCV日笠という、特定の人種には感涙モノな主人公の神代マヤがもんの凄い顔をする。特にこの回では、彼女の怒った顔、呆れた顔、微笑んだ顔と様々な顔を非常に整った絵で拝むことが出来る。

 この回はコンテ演出が中村亮介さん、作画監督が細井美恵子さんのゴールデンコンビ。美麗な作画で、スプーンだってグングン回る。お二人の名は『ねらわれた学園』で覚えたのだけれど、過去の担当作を遡って調べていたら、リアルタイムで見ていてとても好きだったこの回があった、といった次第で思い入れも深い。脚本を担当された綾奈ゆにこさんも同じく、『アイカツ!』で気になって調べて見たら……だったので、この回には好きが詰まっているのです。

 臨死体験をして、オカルト好きだったこずえがすっかり変わってしまい、元に戻すべく再びの臨死体験を試みる話。こずえ回のようでいて、実質は文明先生回。臨死体験を通して垣間見える、決して幸福とは言えなかった彼の子供時代と、宇宙人侵略のビジョン。それを見ていたマヤが、出会いの場となった屋上で彼に手を差し伸べるという構図は、なんかもう上手いなあとしか言えん。これまでさんざな扱いだった文明と、さんざな扱いをしてきたマヤが、ほんの少し彼を知ることで距離が縮まったかな?というイイハナシダッタナーからのベタなオチ。これぞオカルト学院。普通には終わらねぇ。

 こずえをオカルト好きに戻そうと、マヤと亜美が無理矢理なオカルト攻撃をしかけていく辺りの畳み掛け具合や、こずえの心が戻ってこない真相など、所々の力の抜ける笑いが、日笠高垣花澤という美声かつ芸達者な三人が飛び道具的な少女達をより一層面白くしていてこれまた良い。

 レンズフレア、残像表現、太もも、宇宙、尻、太ももと中村亮介さんのフェティシズム全開(怒られないかなこれ)で、後の作品に繋がる要素も見えて楽しい一話です。

 

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 ※(月額会員見放題作品ではありません) 

 

戦国コレクション 5話「Sword Maiden」

 「好きな話数」を選ぶときに、このアニメほど話題に上りやすく、かつ票がバラけるアニメも無いんじゃないか。そう考えるのは、このアニメがほぼオムニバスであって、毎週毎週のつながりも殆どなく、その上毎回毎回方向性すら大きく変わってくるアニメだから。

 戦国世界(時代ではない)からやってきた戦国武将たちが、現世の人間と出会ったり出会わなかったりして繰り広げられる物語。その顔ぶれはちょっと挙げただけで織田信長、德川家康、前田慶次平賀源内劉備新選組とそうそうたるもの。戦国?

 そしてその話はほぼ全て何かしらの映画(中にはアニメもある)をパロディ、オマージュして作られていて、今回選んだのは、塚原卜伝×マイケル・ムーアの「Sword Maiden」 戦国?

 ドキュメンタリー作家・モースによる作品「Samurai for Murder」は、卜伝ちゃんら戦国武将のインタビューを根拠に武将たちの危険性を訴えますが、それは編集による捏造であり、怒った卜伝ちゃんはモースへの復讐を開始。

 手持ちカメラのブレや、急に始まるカートゥーン調のアニメ、主観バリバリの映像の内容など、マイケル・ムーアの作品をネタにした、やけに再現性の高い疑似ドキュメンタリーが見物。刀を使った殺傷事件の被害者の写真を、剣豪将軍・足利義輝の家の門にそっと置いていくシーンとか爆笑モノです。

 実写とアニメ、違う次元の作品を瞬時に繋げることの出来る一つの武器である声優も超効果的に利用し、『華氏911』などパロディ元のマイケル・ムーアの吹き替えを多く手掛ける江原正士さんをモースにそのまま起用。

 ドキュメンタリーの胡散臭さから、返す刀で生放送番組の胡散臭さにまで切り込んでいく痛快さ、そして凄いザックリしてるけど武将らしい解決の仕方と、その先のオチまで最初から最後まで楽しい。ちなみに卜伝ちゃん役は原紗友里さんで、モバマスの未央役として知ってから改めて見ると中々の衝撃でした。出番は少ないものの、強烈な役で小松未可子さんも出ていて個人的に嬉しい回。シンフォギア後、モーパイ放送中というブレイクギリギリ一歩手前の未だ初々しいみかこしの演技を聞こう。

 戦国武将という存在が、世間で周知されてるんだな、ということを視聴者に教えてくれたり、このところ影の薄い主人公たる信長様がどうしてるのか見せてくれたり、実は意外と親切な回でもあって、作品のスタンスのようなものが見える回なんじゃないでしょうか。正直どう楽しめばいいのか分からなかった1~4話の印象がガラッと変わり、また見返したくなる、そしてこの先も見たくなるそんな回でした。

 

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・てなもんやボイジャーズ 1話「県警対組織暴力

 今まで挙げた回の多くが、コンセプトの「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」をぶっち切って「お前それ作品としてもかなり好きだよな」だったのに対してこの作品、この1話だけはコンセプトにしっかりと沿っている気がする。

 何故かと言うと、この1話が最高であり、ここから最終話である4話目まで(2話目はともかく)右肩下がりの一方だから。いや、こんなこと書くのは作品に対して失礼でもあるし、なるべく悪口なんて言いたか無いんだけど、この1話目が本当に大好きだけに、その後の展開に歯ぎしりする、愛憎半ばの感情を持った回。

 監督は新房昭之さん、前半2話の脚本は月村了衛さん、キャラクターデザインは石浜真史さんと、豪華も豪華なスタッフが集まって繰り広げるどうしようもなくニッチなOVA

 OPテーマは「ゲバゲバ90分のテーマ」(世代的にはのどごし生のCMでお馴染み)、EDテーマは時代劇『木枯し紋次郎』から「だれかが風の中で」 BGMに『仁義なき戦い』のテーマが鳴り響くという、当時を考えても狙った年齢層が分からなくなる謎の選曲。

 地球から宇宙の果ての高校に赴任してきた新人教師・アヤコと、同じく地球からスポーツ特待で入学した少女・若菜の二人が、廃校の憂き目にあって路頭に迷っている所に、空からロボット(理機士という。勿論「リキシ」)が降ってくる。それに乗っていた広島弁の謎の少女・パライラと共に、一路地球を目指すことに。一方でパライラを追うヤクザ組織「邪王会」と、彼女の逮捕を目論む広島県警から宇宙に左遷された刑事・横山タツエ。そんな彼女たちの任侠スペースオペラが始まる……という壮大な1話。

 そもそも、第1話のタイトルが「県警対組織暴力」です。そしてナレーションが来宮良子さん。宇宙船の内部に侵入すると広島県警のパトカーを乗り付けて「宇宙はいくら銃を撃っても始末書いらないから良いわあ」と広島弁でのたまう女刑事も出てきます。やたらとカッコいい音楽に乗せてロボットも出てきます。盛りすぎ。

 スペースオペラ任侠ロボットアクション珍道中……俺にとってはこの1話は天国だったんです。でもそんな奇怪な天国がいつまでも存在するはずもなく、3話目から雲行きの怪しかったこの作品は、とうとう4話目でお色気に舵をぶっち切り、「なぜか完」してしまう(ホントにそういうテロップが出る)。適当でも良いから、なぜかではなく「完結」してくれていれば、これほどまでに思い悩まなかったかもしれない、それくらいこの世界の下でこのキャラクター達が地球を目指すんだ!という「顔見せ」が最高な1話でした。売れなかったんだろうなぁ……。

 ニッチな要素ばかりでなく、石浜さんの洗練されたキャラデザとよく動く作画と綺麗なレイアウト(素人目ですが)など、今でも十分以上に通用する第1話なんです……。高橋美紀さん、川上とも子さん、そして広島弁をぶちかます三田ゆう子さんと土井美加さんと、豪華声優陣のテンポいい会話も面白い。バカの所にバカが集まってバカをやる話で、しかも石浜キャラだし、『R.O.D』好きの人とかきっと気に入るんじゃないでしょうか。

 1話が余りにも良かったからこその、その後の失望感。希望と絶望の相転移ソウルジェムの濁り待った無しだからこそ選んだ1話です。是非見てください……。

 

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 ……というわけで以上になります。ベストエピソード選出に際して、改めて自分の好みを振り返ったり発見があったりと、参加させていただいて既に自分の中には実りがありました。好きな話数について自分なりに熱く語れたのではないかな、と。そこだけは自負しております。

 改めてぎけんさんに、そしてこちらのページにまで遡って読んで下さった方にも感謝感謝です。