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タイトル未定

アニメとか映画とか小説の感想を書いたりします。予定です。未定なんです。

ヘロQさんの『もっけの幸い』

新宿はシアターサンモールにて、劇団ヘロヘロQカムパニーさんの第33回公演『もっけの幸いの「もっけ」ってモノノケの事なんだって。知ってる?』見てきまった。

ヘロQさんの舞台を見るのは、『無限の住人』に続いて二本目。ザ・漫画な登場人物と武器を実写に落とし込んだビジュアル、ケレン味溢れるアクション、ギャグとシリアス入り乱れたテンポの良い演出、原作未読者(恥ずかしながら俺だ)にも分かりやすい纏められた脚本、そして関さんを始めとした豪華な出演者……と虜になってしまい、すっかりヘロQファンに。本公演も当日までソワソワと楽しみにしてました。

今回は日替わりゲストということでしたが、これがまた凄い面々で、チケットの予約の前からさてどうするかと。

当初の希望としてはあわよくば石田さんか小西さん……と思ってましたけど案の定瞬殺完売。さればと、スケジュールと相談しつつ見たい方を考えた結果が戸松さん出演の今回と相成りました。戸松さん、自分の中では未だに声を聞いてパッと「戸松さんだ!」とならないくらい役の印象がバラバラで、演技の打率がめちゃくちゃ高い名バイプレイヤーって認識だったので、ここらで改めてガッツリお芝居見ときたかったのでした。

と、いうところで以下舞台の感想。ネタバレも込みなのでお気を付けを。

 

さてさて。物語は、半妖怪半人間の胡散臭い自称モノノケハンター・根津と、ひょんなことから彼と知り合ったレストランの娘・唯を中心とした、笑って泣ける生暖かい人情妖怪物語。

段々と生きる場所を失って、世知辛く暮らす妖怪たちと、そんな彼らを暖かく包み込むことになる、キッチン麻宮の一家。ある目的を持つ新時代のモノノケ達と、人に仇なすモノノケ退治を生業とする闇ガラス。陽と陰、ギャグとシリアス、二つの集団が交じり合う前と後でジワジワと作品の色が変わって行って、一粒で二度美味しく、心の底から笑っていたら、最後には涙が止まらない素敵な作品でした。

 ヘロQさんの舞台は、過去作を調べてみると横溝に山風、オリジナルでもサスペンスに時代劇にと、多分に『伝奇』な匂いを感じるんですが、今回もモノノケ=妖怪モノということで御多分に洩れず。とあるモノノケの本性が「あなた様かーー!」だったり、細かい所がツボに突き刺さる。

パンフレットに「初期ヘロQ作品の雰囲気満載」とありますが、前作に比べるとギャグ多めで全体的に雰囲気も暖かく、 成程これがヘロQなのか……と魅力を思い知る新参ファンなのでした。いわゆる敵方も、どシリアスな登場シーンの割にいきなり天丼ギャグをかましてきたり、クライマックスというのにちょこちょこ笑い所があったり、見てて楽しかったです。この、「笑い」をかくも鮮やかに成立させるんだから凄いなぁと。

 

役者さんについて。まずは座長。今回の関さんは、全体的に小汚くて髪型も面白い風貌だし、第一声から大分高めの声で、それ聞いただけで僕も周りも結構笑ってて。なのに、やっぱり舞台で演技を見ていると、もうどうしようもなくカッコいいんですよ。佇まいも発声も動きも、ヤらしくて胡散臭いんだけど、どこか憎めない根津という男そのもので、それがもう堪らなくカッコいい。好き。舞台袖でのちょっとした物音にも即座に反応してアドリブを効かせて、はぁーん舞台役者関智一素敵すぎるなと。

純真というか、結構すっとぼけたヒロインだなぁと思った唯ちゃんですが、両親もまた中々のすっとぼけ具合で、長沢さんと置鮎さんがとってもハマってた。置鮎さんの、あの低く良い声と爽やかフェイスから繰り出される小気味いいボケとツッコミが、普段の役のイメージからはちょっと想像が付かなくて、そのギャップも面白かった。

前回の百琳姐さんで虜になった那珂村たかこさんは、今回も凛とした役で、終始「カッコいい……」と心の中で呟いてましたね。

二作しか見てないのに自分の中ですっかり「語り部」ポジションという認識になってしまった大場達也さんも、役に立つんだか立たないんだか、良いこと言ってるのか言ってないのか、みたいな絶妙なキャラで、後述のアドリブパートの掛け合いがめちゃくちゃ面白かった。

近藤浩徳さんも最序盤からクライマックスまで、要所要所でビシっと決まっていてカッコよかったし、島田朋尚さんにも、少ない登場シーンでガツンとインパクトを刻まれました。開幕から笑いを掴むの、凄いよなぁ。

さて、ゲストの戸松さん。日替わりゲストということはそんなに登場シーンも無いのかなぁと思っていたらそんなことはなく。1シーンまるまるスポットが当たっていたかと思ったら「そんな所で登場すんのかよ!」なシーンまで。出る度に場をかっさらう、アドリブ満載の、正しくゲストな配役。これは、他の回も見たくなるよ……。

眼鏡っ娘クラスタとしては、初めて見る生の戸松さんが丸い眼鏡を掛けているという時点で事件なんですが、まぁしかしやはり可愛い。とか思ってたら、服装と役名に絡めた置鮎さんからの爆弾発言で爆笑。これ、他の女性キャストの時とかも多分そうなのかなぁとかめっちゃ気になった。いやぁ、あんな良い声で「オナホ」が聞けるとは。

その後も、関さんとの共演で妖怪モノだけどまさかなぁと思っていたら職業ネタがぶち込まれ、案の定あの作品のあの体操が。大分良いモノを見た。割とシリアスなシーンで吹き出してしまう置鮎さんも見られて、挨拶の時の戸松さんの言葉通り、「一期一会」な舞台の面白さを味わえました。

 

舞台見る時の恒例になりつつある、新しくお名前を知ったキャストの方々。

まずは唯役、進藤初香さん。のっけから痺れる声量。ザ・天然といった具合の役だったんですけど、おっとりとしながら芯の強さの感じられる可愛い役で、だからこそクライマックスの演技に泣かされましたね。ムゲジュウにも出てらしたとのことだけど、パンフレットが見つからなくて役が確認できないぐぬぬ

姉の陽子役の松本和子さんも、対照的にクールなお姉ちゃんを好演されていてカッコよかった。

山田役の大谷秀一郎さんは、「俳優気取り」みたいなことを劇中で言われてたけど、そのカッコつけっぽい仕草がギャグパート以外はスマートにキまっていて、全然カッコつけてる感じもせず素直に入ってきて素敵でしたわ。終盤の演技も凄かった。役自体も新時代のモノノケということで、結構考えるところがあったりします。

あと猫娘な。加藤杏奈さんの猫娘。可愛いの……。超可愛いの……。可愛かった……。

 

見た時の思いをちゃんと書きとめておこうと思いまして、備忘録的にも長々と書きましたけど、とにかく面白かったです。今回は特に、ナマモノとしての演劇という部分をより強く感じられて刺激的な体験でした。

居場所についてであったり、人との関わりについてであったり、少なからず自分の日々の中にも関係してくる部分もあって、そういう時に根津さん方式でちょっと生きてみっかなと思いましたことよ。大変面白かったです。

 

しかし、次回作がアレならばあの公演DVDを購入せねばなるまいて……。